リロ&スティッチ
声の出演:デイヴィー・チェイス/クリス・サンダース/ティア・カレル/デヴィッド・オグデン・スタイアーズ/ケヴィン・マクドナルド/ヴィング・レイムス/ゾー・コードウェル/ジェイソン・スコット・リー/ケヴィン・マイケル・リチャードソン/スーザン・ヘガティ/エミー・ヒル
ハワイ・カウアイ島に暮らす少女リロは乱暴者で夢想がち。親代わりを務める姉ナニとは、たがいに大切な家族と自覚しながらも衝突が絶えず、児童保護局によってふたりは引き離されようとしていた。リロが引き取りスティッチと名づけた捨て犬は、実はエイリアン・モンスター。ジャンバ博士によって生み出された、破壊衝動だけを持つ試作品626号だ。回収すべくやって来たジャンバ博士らに、リロとスティッチは執拗に狙われて……。
(2002年 アメリカ アニメ)
監督/脚本は、えらく感動させてくれた『ヒックとドラゴン』のコンビ。でなければ「どうせ小2女子向けでしょ」とタカをくくって観なかったはずだが、いやいやどうして、強烈な映画だ。
でもまぁ、そういうものなんだよね、生きるって。美談ばかりじゃない。汚れることもある。我を失いヤケになることだって。善悪に境目なんてない。価値観は相対的なもの。ベースにあるのは、いつもエゴ。
ディズニー作品とは思えない、これ親子で観て大丈夫かとヒヤヒヤするくらいに、リアル社会の真理を突きまくる。
捨てた人形を拾いに戻ってくるリロの姿に、彼女の孤独や、思い通りに生きられないやるせなさが浮かび上がる。枕に顔を当てて叫ぶ姉妹の様子は、ツライ気持ちを抱えながら、たがいにいたわりあいながら、どうやってふたりが暮らしてきたかを物語る。スティッチは、さりげなくリロやナニに頼るようになる(サーフィンの場面でナニの足にしがみつくところが好き)。
加えて、そんな主要キャラクターの側に真っ正直なデイヴィッドを配置して“男の役割”も自覚させる。
新しい仕事が見つかったと飛び出していくナニ~追われるスティッチを1カットでまとめるなどリズムは上質。スターシップのバトルシーンなどスピード感やニギヤカさもいい。生物的フォルムのマシン群、太ももがヤケに肉感的なナニなどデザインの仕事もキュートだ。
だが、やはりそれ以上に「小2女子向けの顔をしながら、善悪のカオスこそが人の世の真理と語る社会派」という極悪な(褒めている)仕上がりに衝撃を覚える佳作である。
編集/ダーレン・T・ホームズ『レミーのおいしいレストラン』
美術/ポール・A・フェリックス『ボルト』
キャラデザ/バック・ルイス『マダガスカル』
キャラデザ/バイロン・ハワード『塔の上のラプンツェル』
音楽/アラン・シルヴェストリ『キャプテン・アメリカ』
音響/クリストファー・ボイエス『タンタンの冒険』
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