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2004/09/19

映画を語ろう(3)~製作者の力

 出演、撮影、美術、録音などと続くキャスト&スタッフリスト。子どもの頃、このリストの中で意味不明の筆頭だったのが監督・演出だ。リストの最後に仰々しく控えるくらいだから、重要な役割だろうとは感じていたのだが。
 この疑問を解いたのが、実は『帰ってきたウルトラマン』。ふたりの人物が湖をバックに会話するシーン、ところが波打つ湖面が陽光を返し、逆光となって人物の表情が判然としない。どうしてこんなに見にくい画面にするんだろう、ひょっとしてミス? と思った次の瞬間に「あ、きっと何らかの意図・意思のもとに作られた画面なんだ。その意図・意思の持ち主が監督なんだ」と思い至ったわけである(もう、どんなシーンとセリフだったかは忘れたけれど)。
 以後、個々の画面やセリフ、ストーリー展開の中に込められた監督や演出者の意図・意思を探り出す日々が続いている。

 さらに謎だったのが、製作・プロデューサー。やがてその役割も少しずつ明らかとなり、いまは「面白い題材を見つけ、それをより面白くする方法を模索し、その実現に必要な資金を集める仕事=プロデューサー」だと認識している。
 ポイントは「面白くする方法を模索する」という点。ここには題材にふさわしい監督を起用することも含まれるはずだが、監督には監督なりの作品解釈や意図・意思があるわけで、両者がぶつかった場合、たいていは製作・製作総指揮の意見が重視され、必ずしも作品の構成要素すべてが監督の意図・意思の産物ではない、という状況が作られることになる。製作者が財布のヒモを握っているのだから仕方ない。
 が、プロデューサーの考えが的確で、監督の独善を上手に抑え、監督のアイディアを上手に生かすことができると、作品は俄然面白さを増す。それを最初に強く感じさせたのがレイモンド・チョウ。カンフーカルト『燃えよドラゴン』(ロバート・クローズ監督)の製作や、ジャッキー・チェンが監督も務めた彼の最高傑作『プロジェクトA』の製作総指揮を務めた人物だ。
 感心させられたのは『ハイ・ロード』という作品。監督は異色の戦争コメディ『戦略大作戦』で知られるブライアン・G・ハットン、主演はテレビから映画へ本格進出を始めたばかりのトム・セレックで、飛行機乗りが主役の冒険活劇だ。見るからに予算抑え目の内容でドラマ部分には安っぽさも目立つのだが、一転して飛行機による戦闘シーンやヒマラヤ越えはド迫力。使うべきところ=映画を面白くするために必要なパートにこそ、より多くのカネと労力は割かれるべき、という姿勢、製作者と監督との間の意思統一が感じられ、しかもそれが成功していた知られざる傑作である。

 以来、作品の中にプロデューサーの意図・意思も探すようにしている。それが画面に現れることの良し悪し、映画に与える効果などは監督次第だが、当コラムではプロデューサーの力も監督評価やストーリー・シナリオ評価に組み込むことになるだろう。
 ただ基本的には、映画撮影の舞台裏を描いたアガサ・クリスティ原作の『クリスタル殺人事件』(ガイ・ハミルトン監督)で、映画監督役のロック・ハドソンが叫んだ以下のセリフ(うろおぼえ)を、かなり支持するものである。
「監督が『トランプのできるカンガルーを7匹欲しい』といったら連れてくるのがプロデューサーなんだよ!」

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