トエンティマン・ブラザーズ
監督:スコット・ロバーツ
出演:ガイ・ピアース/レイチェル・グリフィス/ロバート・テイラー
30点満点中12点=監2/話2/出3/芸3/技2
【犯罪者3兄弟と、彼らを待ち受ける罠】
ダイル、マル、シャインの3兄弟は、腕利きの犯罪集団でありながら現在は服役中。だが実は、こっそり外へ抜け出し、その間に強盗を働いて刑務所へ戻るという、アリバイ作りの方策だ。手引きするのは現職の警官、そして弁護士のフランク。ところがフランクは、ダイルの妻キャロルを寝取り、稼いだ金も独り占めしようとする。陰謀に気づいたダイルは、折しも持ちかけられた新たな犯罪計画を機に復讐を遂げようとする。
(2002年/オーストラリア)
【面白い要素が見当たらない、センスに欠ける作品】
製作者は本当に「面白い」と思ってこの映画を作っているのだろうか?
服役中の強盗3兄弟をこっそりシャバに戻してカネを盗ませるという設定はいいが、そのメリットや仕掛けをわかりやすく説明する義務を果たしていない。3兄弟それぞれのキャラクターも本作の魅力ではあるが、弟ふたりに比べて肝心の長兄ダイルのキャラが立っていない。長兄の妻キャロルのポリシーも不明だ。
何よりストーリー展開と演出に、光るものがない。どうなるのかというハラハラ感に欠け、逃げるときは逃げるだけ、撃つときは撃つだけでスリルを高める工夫が足りない。盗んだカネが「どういう理由で、どこへ行ったのか」も描かれない。ただダラダラと場面が進行しているだけだ。
しかも、撮影技法やカット間・シーン間のつながりに見るべきものもないので、ますますダラダラ感が増す。及第点をあげられるのは、まずまず手堅く演じていた出演陣と音楽くらいだろう。
ひとことでいえば、面白みのない映画、面白くない映画。DVDでは字幕スーパーの翻訳の質があまりヨロシクないのも、この映画をツマラナクしている一因だが、そもそも映画としてのデキが良くないのだから、日本語版製作に力が入らなくても当然か。
本来クライム・アクションというのは、盗む側vs盗まれる側、追う者vs追われる者の対決図式をスリリングに描きつつ、アクシデントによるパニック、仕掛け、ちょっとしたアクセントやスパイスなどを加えることで完成度が高まるもの。その点では、ギョーカイ人のように言葉をサカサマに構成する3兄弟独特の喋りが一応のスパイスとなっているが、それも取ってつけたような印象を与えるし、それ以外には「ふむふむ」と思わせるところはまったくない。
一応は破綻なく進むため途中で観るのをやめたくなるほどではないが、面白い映画に求められる要素をほとんど満たしていない本作は、失敗と断じられても仕方ない。
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