サブウェイ・パニック
監督:ジョセフ・サージェント
出演:ウォルター・マッソー/ロバート・ショウ/マーティン・バルサム
30点満点中17点=監4/話4/出3/芸3/技3
【地下鉄ハイジャック犯と鉄道公安官との駆け引き合戦】
ニューヨークの地下鉄が4人の男によって乗っ取られてしまう。車両を1両だけ切り離し、乗客を人質にとって身代金を要求する犯人たち。いったい彼らは、密室ともいえる地下鉄内でどのようにして金を受け取り、どうやって脱出しようというのか? 運行司令室で対応にあたるのは、鉄道公安官のガーヴァーだ。グループの主犯ミスター・ブルーと、無線を通じた駆け引きに臨むガーヴァー。犯行を阻止することはできるのか。
(1974年/アメリカ)
【センスと緊迫感に満ちた、懐かしき好作】
20年以上も前、たぶん小学生の頃にTVで出会い、いまだに衝撃的なラストシーンを覚えている思い出の作品。あらためてDVDで観たが、どうやら吹き替えは当時のものが残っていたようだ。それもまた嬉し。
クライム・サスペンスとしては、あるいは1本の映画として考えても、合格ラインを満たさない部分は多い。警察側登場人物の役割分担が不明確だし、主犯の最期は唐突で、NY市長は途中で用無しとなり、警察側の最初の発砲の理由も説明されない。全体に「ここは原作では書き込まれていたのだろうな」と感じさせる箇所が目につき、すなわち描写するべき事柄の“欠け”で満ちている。
が、それがあまり気にならないほどテンポが良く、カチっとしたまとまりも見せる。シャレっ気たっぷりのセリフでニヤリとさせ、車内の静寂と本部の喧騒を対比させつつ、どこで何がどう起こっているかを丁寧に描く演出は堅実だ。怒鳴りあう地下鉄職員や、列車の暴走を瞑想によって止めようとする乗客、婦人警官かも知れないと思われていた特捜警官など、キャラクターの配置やスパイスも上々。幅と奥行きのあるカメラワークにも感心させられるし、リズムとホーンとを強調した音楽は、この手の映画にベストマッチする。
そして、あのラストシーン。映画とは、こうでなくてはならず、その実現のためには巧妙な伏線が必要であるということを、この映画で教えられたようなものだ。
いま観ても古さを感じさせない、などと常套の表現を使うつもりはないが、お手本となる「映画作りのセンス」があちらこちらに散らばっている好作である。
……やっとこ1回アップした分の2周目を終了、未アップ分に取り掛かれる。
ふぅ。
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