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2004/10/30

デイ・アフター・トゥモロー

監督:ローランド・エメリッヒ
出演:デニス・クエイド/ジェイク・ギレンホール/イアン・ホルム/エミー・ロッサム
30点満点中14点=監3/話2/出3/芸3/技3

【父は氷河を越える。愛する息子を救い出すために】
 地球温暖化に警鐘を鳴らす気象学者ジャック。極地の氷が溶けて海流や気流が変動、大嵐の発生や氷河期の訪れがありうるというのだ。「100年後、あるいは1000年後かも」との予測に反し、LAを襲う竜巻、東京に降り注ぐ巨大な雹など地球規模の異変は急速に拡大。遂に大嵐は、大勢の人々とともに北米大陸を飲み込んでしまう。そしてジャックは旅立つ。雪と氷に閉ざされたNYで孤立する、息子サムを救出するために。
(2004年/アメリカ)

【性急な展開、マクロとミクロの配分が悪いストーリー】
 潤沢な予算で好き放題。それが、良くも悪くもエメリッヒ監督の持ち味だ。とりあえず派手なことだけはやらかしてくれる。
 ところが本作は、腕を目一杯に伸ばし切っていない感じ。エメリッヒらしい奔放さがパワーとして画面から伝わってこない。全力疾走の挙句に息切れをしたというか、力の入れ方がどこかチグハグなのだ。

 まずは売りものの特撮シーン。確かに派手ではあるが、CG臭さ・合成臭さが鼻について、ブルーバックの前で懸命に演技する役者たちの苦労を感じ取れてしまうほど。背景と人物のつながり、CGと実写とのつながりに違和感があって、フィニッシュワークを詰め切れていない印象だ。建物を凍りつかせて迫り来る寒気を視覚的に表現するなど、面白い部分もあるのだが、トータルでは“未完成”の感をぬぐえない。

 地球規模で起こる異常気象の切迫した雰囲気を伝えようとする演出も希薄だ。CGシーンやコンピュータ・シミュレーション、宇宙ステーションから見た地球の姿などで災害や嵐の大きさは示されるが、実際の被害が描かれるのはLAとNY、そして千代田区(笑)だけ。しかも被害は、台風中継のようなニュースで国民に伝えられる。
 おまけに、ストーリーは親父が息子を助けに行く話へと収束していく。マクロなテーマのクセに、妙にスケールが小さい。

 まぁ、どれだけ地球がピンチでも大切なのは肉親なんだ、そんな話にしたかったのだろう。それはかまわない。が、それにしては展開が中途半端で説得力にも欠け、親子関係の描写に割かれる時間と労力が少ない。
 そもそもなぜジャック自らが救援に向かうのか、どれほど困難な道程なのかがしっかりと描けていない。父親らしいことをしてこなかったという懺悔の念を抱いていることはわかるが、「いままで約束を破ってばかりだったが、今回ばかりは約束通りに助けに行く」とか、逆に「これまで息子との約束だけは破ったことがない」とか、あるいは「誰かが行かねばならないが、極寒状況下での活動経験が豊富なのはジャックを置いてほかにいない」といった動機づけをきっちりと描くべきだったろう。海側からマンハッタンに到着するという不自然さも気にかかる。
 いっぽう公立図書館で孤立する息子の周辺も、寒さやジメジメ感が十分には出ていない。

 だいたい、前半に比べて後半は話が性急すぎる。あれよあれよと嵐が来て去って、ハイおしまい、という感じ。詰め込まれるエピソードも、サムのクラスメイトのケガと治療のための外出、自らを犠牲にしてジャックを助ける相棒など、とってつけたような印象が強い。
 イギリスの研究チームは途中でほったらかしだし、副大統領やNASAの職員、ジャックの同僚など多彩にキャラクターを配しながら、その背景がまったく説明されることなく舞台から姿を消す。かろうじて息子とともに公立図書館で孤立する面々に、一定の個性が与えられている程度で、全体として“生きた”人物が少ないといえる。

 いっそ前半部を整理してぎゅっと削減、デキのいいCGだけを残して、後半部に力をこめた作品にしていれば、と思う。せっかく雪を前面に出したシーンのデキはまずまずなのだから、ここをさらに煮詰め、雪道を縫ってNYへ向かう親父と、懸命に生き残ろうとする息子、それをたっぷりと語るというのはどうだったろう。
 あ、ひょっとすると、それを『ファインディング・ニモ』でやられちゃったから、お話の比重を変更せざるを得なかったのだろうか。それとも、途中で予算が尽きたか公開時期が迫ったかで、中途半端な仕上がりにせざるを得なかったのか。
 いずれにせよ、未完成の印象が濃い映画だ。

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