« コール | トップページ | マッチスティック・メン »

2004/10/06

ミニミニ大作戦

監督:F・ゲイリー・グレイ
出演:マーク・ウォルバーグ/エドワード・ノートン/シャーリーズ・セロン
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4

【疾走するミニ。金塊は誰の手に渡るのか?】
 若き天才犯罪者チャーリーたちは、完全な計画の下、厳重に保管される金塊を盗み出すことに成功。しかし仲間のひとりスティーヴが裏切り、ベテラン金庫破りのジョンを殺害、金塊を奪って逃走してしまう。1年後、ようやくスティーヴの居場所を突き止めたチャーリーは、ふたたび仲間を集め、ジョンの忘れ形見であるカギ師ステラも加えて復讐と奪還に挑む。彼らが選んだ武器、それは小回りの利くクルマ、ミニだった。
(2003年/アメリカ)

【展開や見せかたはいいのだが、ラストに説得力が足りない】
 あと一歩、というのが正直なところだ。
 スピード感やストーリーのテンポ、スリルは及第点。最初の犯罪と奪還作戦との時間配分や、つなぎもいい。人物は、掘り下げはやや不足(たとえばジョンとチャーリーの信頼関係などは、もう少しクドく入れ込んでもよかった。エドワード・ノートンは、意外なほど見せ場が少ない)気味であるものの、電子機器の専門家やドライバーなど過不足なく配置され、犯罪世界の広がりをにおわせる雑多な感じも出ている。
 監督は『交渉人』で知られる人物、カメラのウォーリー・フィスターは『メメント』(クリストファー・ノーラン監督)が代表作、プロデュース・チームが手がけた映画には“イキ”な犯罪映画が並ぶ。どこにカネをかけて、どう撮り、どうまとめればシャープなクライムムービーになるのかを把握しているようで、映画全体としてのまとまりは良好だ。
 特に、ボートによる追跡劇とダイバーの活躍、狭い排水路を疾走するミニや混雑するロス市街など、ベニスだから出来ること、小さなクルマだから出来ること、といった状況・アイテムを生かしたシーンは、スピーディで迫力があり、この映画の大きな見どころとなっている。

 その逆に「ベニスだから、ミニだから出来ないこと」が描けていない。たとえば、ミニ1台に多くの荷物は積めない、だから3台で、というところまではいいのだけれど、だからこそ遭遇する危機的状況、なんかが効いてくると、よりスリリングになったはずだ。
 ストーリー上では、クライマックスで登場する難攻不落の金庫や、そこでの対処法が唐突すぎる。ギリギリの場面でさらなるスリルを、という気持ちはわかるのだが、説得力に欠ける。この部分につながる伏線を張っておけば、最後まで完全にまとまった筋書きになっていただろうに。

 設定や役者にはせっかくオシャレな要素がそろい、展開もクールに決めているが、映画の最終的価値を決めるクライマックスで手を抜いてしまったために、ただスピーディなだけが持ち味にも思える映画、悪い意味で小粒な作品になってしまった。あと一歩、である。

|

« コール | トップページ | マッチスティック・メン »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ミニミニ大作戦:

» 『ミニミニ大作戦』 [On The River]
これってミニのCMなんかな? 『猿の惑星』のマーク・ウォールバーグ主演の泥棒もの [続きを読む]

受信: 2004/11/19 17:32

« コール | トップページ | マッチスティック・メン »