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2004/10/08

ハンテッド

監督:ウィリアム・フリードキン
出演:トミー・リー・ジョーンズ/ベニチオ・デル・トロ
30点満点中12点=監2/話2/出2/芸3/技3

【老いた教官は、殺人マシンと化した教え子を止められるか】
 軍特殊部隊の教官として、戦闘のプロを数多く育てた男、L.T.。引退後はカナダの森林地帯で野生動物の保護に打ち込んでいたが、平穏な日々を揺るがす事件が起こる。次々と殺される軍人たち、その犯人がかつての教え子ハラムであることが判明したのだ。戦争という狂気に精神を蝕まれたハラムを止められるのは、L.T.しかいない。森の中、そして都市で、己の肉体と経験とを武器にしたふたりの男の闘いが始まる。
(2003年/アメリカ)

【面白い映画にしようという気概に欠けた作品】
 もっともっと面白いものになっていいはずだった。
 ところが、サバイバルのエキスパートという設定があまり生かされていなかったり、唐突に手作りのナイフで戦い始めたり、主演ふたり以外のキャラが立っていなかったり、かといってもっとも大切な部分であるはずの主演ふたりの関係が十分に描けていなかったり、街中での追跡劇にスリルや説得力が足りなかったり……と、ストーリー面や設定面でのアラばかりが目につく作品になってしまっている。
 そもそもハラムの、戦争によって精神を病んだ男という設定がステロタイプ。せめて、どこか弱い部分を抱えている人間であることを示して狂気へと至る説得力を持たせるか、逆に「これほどタフな男まで狂わせる戦争の残虐性とは」といったテーマを滲ませるべきだったのだが、いずれも希薄だ。
 いっぽうL.T.についても、なぜ教官を引退したのか、その腕前、どの程度衰えたのかといった描写がほとんどない。たとえば、ただの警官たちが見落としたものでもL.T.には意味がある情報、といった場面がもっと出てきたり、体力に優るハラムに対してL.T.が経験を武器にしてどう立ち向かうかといった展開なら、生きたストーリーになったのだが。
 キャスティングも、ちょっと無理めか。トミー・リーはよく頑張っているものの、スゴ腕には見えない。ベニチオも、もっとクセモノキャラのほうが味は出る。

 画面作りやテンポなどは真っ当で、大きく破綻することなくラストへと至る。が、全体として“面白み”が足りない。ストーリーやキャラクターの練り込み不足といい、これといって大きなチャレンジや工夫もない画面構成といい、「予算も時間も足りなかったんで、まーこんなもんで」という雰囲気が前面に出て、面白い映画にしてやろうという気概に欠けている感じだ。
 とりたてて“いい”印象が残る作品ではない。

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