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2004/11/30

S.W.A.T.

監督:クラーク・ジョンソン
出演:コリン・ファレル/サミュエル・L・ジャクソン/ジェレミー・レナー/ミシェル・ロドリゲス/LL・クール・J/ブライアン・ヴァン・ホルト
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4

【訓練を経て実戦へ。いきなりの困難な任務が待つ】
 相棒ギャンブルの命令違反をかばい、SWATチームから武器管理庫へ転属となったロス市警のジム。耐える日々の後、伝説の教官ホンドーに見出されたジムは再訓練に挑み、チームへの復帰を果たす。新チームが与えられた任務は国際手配犯アレックスの護送。だがアレックスがテレビを通じて「俺を逃がせば1億ドルをやる」と呼びかけたことから大混乱。アレックス奪還を狙う悪党どもの中には、ギャンブルの姿もあった。
(2003年/アメリカ)

【面白くしようという配慮はあるが、徹底し切れていない】
 冒頭から、ドキュメンタリー的な映像も織り交ぜての緊迫した銃撃戦。ジムとギャンブルが口論するロッカールームでは一瞬にしてアングルを調整して、ジムの後頭部が鏡に打ちつけられる様子を映し出す。容疑者の逃走シーンでは、吠える犬、パレード、工場内に飛び散る火花など、単なる逃亡と追跡に終わらないよう画面にアクセントをつける。トランプを撃ってポーカーの役を作るなど、SWATの訓練にも工夫が多い。
 何がどうなっているのかわからないほど短いカットもあるし、音楽が少し安っぽくも思えるが、全体にスピードを重視した構成で、手間をかけて作ったな、さして重要でない場面にまで飽きさせない配慮を盛り込んだものだな、と感心させられる。

 が、その配慮がストーリーの流れや骨格などにまで及ばず「お話としての面白さ」を作れていないのが惜しい。お話が空っぽとまではいわないが、大味すぎるのだ。
 特に、過不足なくテンポもいい前半に比べて、SWATチームが実戦へと入る後半が消化不良。アレックスの「俺を逃がせば1億ドルをやる」という呼びかけに呼応して集まる悪党どもと警官の戦いは、もっとコッテリとできたはずで、現状では警官たちが孤立しかねないという状況を十分に生かせていない。クライマックスも、ややSWATチームに都合のいい展開だ。
 前半部の訓練と後半部の実戦、単独でもそれなりの面白さを持つふたつの話を無理にひとつにまとめたばっかりに、焦点の定まらない構成になってしまった、という印象を抱かせる。

 最大の欠点は、隊員たちに個性が足りず、背景も描き切れていないことだろう。ギャンブルが警察を辞めるのもチームを襲うのも、ある隊員がチームを裏切るのも唐突。チームが訓練の最終テストや実戦をやり遂げる際にも、誰のどんな能力と働きが生かされたのか、つまり「チームがどのように機能したのか」という重要な部分が十分に出せていない。教官ホンドーは、なるほど人を見る目は確かなようだが、実際にどの程度のカリスマ性や指導能力を持つのかが曖昧だし、憎まれ役の警部も扱いが軽いように思える。
 伏線らしい伏線もなく、「なぜ、そうなったか」という説得力のないままストーリーが進んでいってしまうのだ。

 面白く観せよう、テンポを大切にしようという姿勢は立派だし、それが成功しているところも多い。スピード感や迫力など、アクション映画としては及第点にあるとも思う。だから、もう30分ほど長い話にして、各人のキャラクターや出来事・行動の背景まできっちりと描いていれば、かなりの良作になったのではないだろうか。
 物語の奥行きにまで“配慮”があれば、と思わせる、惜しい作品だ。

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