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2004/11/07

ミスティック・リバー

監督:クリント・イーストウッド
出演:ショーン・ペン/ティム・ロビンス/ケビン・ベーコン
30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4

【事件が、子どもたちと大人たちを変えてゆく】
 幼馴染みのジミーとショーンの目前、クルマで連れ去られたデイブ。4日後に保護されたものの、事件はデイブの心に大きな傷を残してしまう。それから25年、疎遠になった3人。ジミーはムショ帰りの商店主で3人の娘を持ち、ショーンは妻に家出された警官、貧しいデイブは息子と野球に興じるという、それぞれの日々。が、ジミーの娘ケイティーが何者かに殺されたことで、ふたたび3人の人生が交わり、新たな悲劇を生む。
(2003年/アメリカ)

【人生のターニングポイント、その意味を問う】
 どこまでも陰鬱だ。
 画面には常に、明るい部分と暗い部分とが作られる。そして露出は明るい部分に合わせられ、たいていの場合、人物は陰の側に配される。
 街並みもグレイが基調で、また夜間や室内のシーンが多く、音楽も抑えめ、衣装や美術も落ち着いたトーンだ。
 各キャラクターの造形や俳優陣の演技も、抑制の効いたものとなっている。誰もが何かをグっと我慢しているかのような印象だ。唯一“ハジケテイル”のが19歳のケイティーだが、その彼女が殺される。
 全編を暗さが支配する映画だ。こうも重苦しいとどこかで息を抜きたくなるものだが、それもない。
 ダーティー・ハリーって、こんなにも辛抱強い人だったのか。

 人物それぞれの持つ暗さ、現在の生きかたに対する苦悩は、幼少期に起こった誘拐監禁事件に原因があると示唆される。誘拐されたデイブについてはいうまでもなく、ジミーとショーンも「あのときクルマに乗っていたのが自分だったら」と、事件が3人にとってのターニングポイントとなったと感じているようだ。
 が、果たしてそうだろうか。
 それぞれの行動を見ていると、誘拐されたのが誰であろうと、ジミーはダークサイドに足を踏み入れたであろうし、ショーンは警官となって妻に逃げられただろう。ターニングポイントは別にある。どんなことでもターニングポイントになりうる。あるいは、ターニングポイントがあろうがなかろうが、人は人それぞれの道を進む。それが真実なのではなかろうか。

 この事件と3人の男の物語に触れて、カタルシスや安堵を覚える人は少ないだろう。だが、ある出来事がその先の人生にもたらす意味、出来事によって進む道が曲げられることの悲壮さ、自分がターニングポイントだと考えている出来事は本当に人生の分岐点だったのか、などを考えさせるには十分の力を持つ
 また、決して退屈ではないが派手でもなく、ひたすら陰鬱だから、イライラやジリジリした気分が募るかも知れない。映画ならではの鮮やかな感動を期待しても、それは裏切られる。しかし、演出・演技・スタッフの仕事は細部まで密度が濃く、1本の映画を観たという達成感を味わうことはできる作品だ。

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