レジェンド・オブ・メキシコ
監督:ロバート・ロドリゲス
出演:アントニオ・バンデラス/ジョニー・デップ/サルマ・ハエック/ミッキー・ローク/ウィレム・デフォー/ダニー・トレホ/エンリケ・イグレシアス
30点満点中16点=監3/話2/出3/芸4/技4
【メキシコがふたたび銃火に包まれる】
ひとりで街ふたつを破壊した伝説の男エル・マリアッチは、クーデターを企てるマルケス将軍の暗殺を依頼される。将軍こそエルの仇敵であり、愛する者たちの命を奪った人物でもあった。依頼者のCIA工作員サンズは引退したFBI捜査官や地元警官とも接触し、将軍の後ろで糸を引くバリリョともどもメキシコの悪を一掃するべく、綿密なシナリオを立てる。裏切りや計算違いが相次ぐ中、遂に戦闘の火蓋は切って落とされる。
(2003年/メキシコ・アメリカ)
【シャープで迫力もあるドンパチを観る映画】
極端にいえば、ただドンパチと撃っているだけ。筋立てやキャラクター設定は、そのために用意された状況・添え物に過ぎない。
裏切りと企みの連続で二転三転するストーリー展開は面白いが、深みに欠ける。愛するものを失ったエルの悲しみは、回想がふんだんに挿入されるものの、こってりと描かれるわけではなく、エルのトレードマークであるギターも前作『デスペラード』ほどは効果的ではない。金や功名に群がる悪党どもはそれほど魅力的とはいえないし、大統領がなぜそこまで支持されるのかが判然としないし、サンズの左手も活躍の場をほとんど与えられていないし……など、物語として詰め切れていない部分が随分と残されている。
十数年前の月刊少年ジャンプ、といった趣でグイグイとお話は進み、ドンパチが繰り広げられる。
そのドンパチに関しては十分に迫力があるといえるだろう。
10分に1回は銃撃シーンが用意され、ワイヤーワークや細かなカット割り、高いところから飛び降りた際にグっと揺れるカメラワーク、次のシーンやカットへ切り替えるタイミングのシャープさ、メキシコのホコリっぽさと温度感が伝わる絵、ギターとオーケストラを使い分ける音楽、ガンアクションの多彩さなど、盛り上げるための工夫がワンサと詰め込まれている。
バイクとクルマのチェイスシーンだけ取っても、単に逃げる&追うだけでなく様々な動きを盛り込んで、全体に退屈させない作りだ。
要はアクションを観るための映画と割り切るべき作品だろう。ま、実際に世の中でもそう受け取られているのだろうけれど。
意外と面白かった『パラサイト』、子供向けということで必要以上に毒を抜いてしまった『スパイキッズ』を観た印象からも、脚本や総監督は別の人物、アクション監督と編集をロドリゲスにやらせれば、かなり楽しめるものが出来上がるのではないだろうか、と思う。
それにしても、こんな国には行きたくないなぁ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント