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2004/12/21

レイジング・ケイン

監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:ジョン・リスゴー/ロリータ・ダヴィドヴィッチ/スティーヴン・バウアー/フランシス・スターンハーゲン
30点満点中14点=監3/話2/出3/芸3/技3

【心優しき父親、そして心理学者。その正体は……!?】
 カーターは休職中の心理学者。幼い愛娘エミーに付き添い、その様子を見守り続ける心優しい父親だ。が、裏では児童心理学者である父の命に従い、双子のきょうだいケインとともに幼児誘拐とその保護者の殺害を繰り返していた。ある日、カーターは妻ジェニーの浮気現場を目撃する。動揺を隠せないカーターに対し、ケインはジェニーを生きたままクルマごと池に沈め、浮気相手のジャックに殺人と誘拐の罪を着せようと画策する。
(1992年/アメリカ)

【楽しんで作られた映画だが、観る側は楽しめない】
 DVDのパッケージいわく「ドンデン返しの連続」。が、ダマシ系映画のパターンがさまざまに出尽くした現在となっては、かなり早い時点でタネが割れてしまう。詳細を記するのは避けるが、撮りかたもまた「ああそういうことなのね」と話の裏側を予測させるものとなっている。全体として「何がどうなっているのか?」よりも「それはわかったから、次はどうなる?」といった興味で観る内容といえる。
 が、観終えた後でよくよく考えると「あれ? 結局どういうことだ?」と頭をヒネってしまう奇怪さも、この映画にはある。

 奇怪さを後押しするのが、まずはジョン・リスゴーの存在感。正直、ハナっから異常者顔の役者なのでどれだけ力演しても「スゴイなぁ」とは思えないのだが、そんなハンデ(?)を抱えながらも、難しい設定・役柄をまずまず頑張ってこなしている。
 長まわしでゆったりと動いたり、一人称視点になってみたりと変化を見せるカメラワークにも、やや冗漫な部分はあるもののヒッチコックの後継者を自認するデ・パルマらしさが出ている。ジャックの妻が病院のベッドで息を引き取るシーン、死んだはずの××が姿を現すカットなど、ショッカーとしての演出も冴えているといえるだろう。ラストカットなどは、かなり印象的だ。

 いっぽうで、画面のわかりにくさが足を引っ張るシーンもある。それがクライマックスなのだから、なおさら痛い。スローモーションを用いているのに、アングルと間(ま)の悪さで「何がどうなったか」がやや判別しづらいものとなっているのだ。
 また前半部の描写はゆっくりと、妻ジェニー側の視点でいちど見せた場面をカーター側からも描くなどわかりやすさに対する配慮を示しながら、後半部は駆け足で説明不足となり(それが狙いなのかも知れないが)、全編を通してのバランスの悪さも感じさせる。

 なるほどデ・バルマもリスゴーも楽しんでこの作品に取り組んだのだろうなとは思わせるのだが、それが独善的になってしまい、彼らのノリほどには観客が楽しめない映画だ。

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