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2004/12/06

アイアン・ジャイアント

監督:ブラッド・バード
出演:イーライ・マリエンタール/ヴィン・ディーゼル/ジェニファー・アニストン/ハリー・コニック・Jr/クリストファー・マクドナルド
吹替:進藤一宏/郷里大輔/日高のり子/井上和彦/大塚芳忠
30点満点中18点=監4/話3/出3/芸4/技4

【少年と巨大ロボットとの心の交流、その結末は?】
 母親とふたり、小さな街ロックウェルに暮らす少年ホーガースは、森の中で鉄をバリバリと食べる巨大ロボットと出会う。いっぽう目撃情報をもとに政府の役人ケントが街にやってきて捜索を開始。ロボットが優しい心の持ち主だと知ったホーガースは、鉄くずを集めている自称アーティストのディーンとともにロボットをかくまってやる。だが、遠い宇宙から飛来したこのロボットには、大きな秘密が隠されていた……。
(1999年/アメリカ)

【クォリティは高いが、お話に奥行きと広がりが足りない】
 ディズニーやスピルバーグの流れを汲み、セル画を中心にデジタルワークも効果的に使われ、波乱も涙も笑いもあるハートウォーミングな物語。つまりは近年の劇場アニメにおける“正統派”だ。
 絵の作りかたは、お見事。広さや奥行き、ものの重さや固さなどがきっちりと表現され、色使いもいい。ヘッドライトやジャイアントの目、家からもれる明かりなど光を効果的に使い、人間もジャイアントもクルマも自転車もよく動く。
 特に素晴らしいのが空中シーン。スピード感もアクションのバリエーションも上質で、モノを飛ばせれば天下一品のジョー・ジョンストンの名前がスタッフ・リストに見られて、なるほどと納得。
 音楽も、いかにもアニメ的、いかにもサウンドトラック的で、各場面を適確に盛り上げてくれる。

 ただ、お話としては「はしょり気味」というか、深さが足りない。いいたいことはわかるのだが、状況を追うだけに終始して、ストーリーはあってもドラマがない、という仕上がりになってしまっている。
 たとえば本作の重要なテーマの1つである「誰でも自分のなりたいものになれる」というメッセージは、ホーガースがもっと悩んでいる姿を前半部で描くことで、より効果的となったはず。おかしな名前、優等生ゆえにイジメられるという現実、その中で悩むけれど、ジャイアントや「好きなことをやって生きている」ディーンとの出会いによって、おぼろげながらも自分のやりたいことが見えてくる……。そういう展開を作るのが正解だったはずだが、ホーガースの暮らしぶりや状況がほとんど描かれていないために、上っ面だけの物語になってしまった。
 またスプートニクが打ち上げられてこれから宇宙開発競争が過熱するという時代設定はいいのだが、舞台となる街が小さいうえに登場人物も少なく、お話の“ふくらみ”やスケールに欠ける。ステロタイプでいいから、特ダネを追う新聞記者やイジメっ子などを登場させ、より広がりのある物語を作ってもらいたかった。

 まぁそれでも、涙ジワリ、笑える場面もスリリングなシーンも多く、出演陣も意外と豪華だし、日本語吹替え版のクォリティも高い。大人も子どもも楽しめる、まさに正統派の娯楽作で、観て退屈するということはない。
 下手をするとと『E.T.』(スティーブン・スピルバーグ監督)に近づきすぎるかも、という恐れはあるが、もう少し練り込めば名作に成りえたという位置にある作品だろう。

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