カンパニー・マン
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演:ジェレミー・ノーサム/ルーシー・リュー/ナイジェル・ベネット/ティモシー・ウェッバー/デヴィッド・ヒューレット
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4
【陰謀と裏切り。誰も信じられないスパイ・ストーリー】
ハイテク企業・デジコープ社で働き始めたモーガン・サリバン。彼に与えられた仕事は、スパイ。ジャック・サースビーと名を変えて各地の会議に出席、その内容を送信するという簡単な任務だったが、その頃からサリバンは悪夢と頭痛に悩まされるようになる。そんな彼に、謎多き女性リタ・フォスターは赤い錠剤を渡して囁く。「症状を抑えたいなら、これを飲んで。そして、あなたがサリバンだということを忘れないで」と。
(2002年/アメリカ)
【真っ当を真っ当に思わせない語りと映像の魔術】
ストーリーは意外なほど真っ当に進む。ハリウッド大作のようなスピード感や派手さはなく、役名のある登場人物も限られているため広がりはないのだが、新事実と意外な展開とをたたみかけるようにつないで観客をグっと引きつけ、テンポもよく、ミステリーとしてもサスペンスとしても、そしてストーリー映画としても、真っ当な作りに思える。
主演ジェレミー・ノーサムはハマっているし、リタ役のルーシー・リューも他作品よりウンと可愛くて、どちらも物語の謎めいたムードの中にピタっと心地よく収まりつつ、破綻なく真っ当にストーリーを押し進めてくれる。
いっぽう画面上に展開するのは、まるでグラフィック・デザイン誌のような絵。デジタルによる処理だろうか、あらゆる場面において極端に色合いが抑えられている。何かが起こるときにだけ、青、赤、緑といった原色が印象的に画面を彩る。意識的に人物を影の中に置いて表情を映さないようにしたり、背景もゴチャゴチャしないよう整理され、幾何学模様も多用して、そうして作り出される絵は、フラッシュバックともあいまって、シャープで、静かで、ときに騒々しくて、無機的。魔術的な雰囲気もある映像の連続が視覚に飛び込んでくる。
時代を特定させないというか、先端の技術と前時代的なファッションとが入り混じる美術もミステリアスな雰囲気を醸し出すのに貢献している。重心の低い音楽や、リアサラウンドを使って記憶の迷宮を表現する音響も効果的だ。
こうした映像と音響は、ストーリー展開の真っ当さを覆い隠して物語のミステリアスな雰囲気を増幅させる機能を果たしていて、ヴィジュアルだけが先走る愚に陥っていないのがいい。見た目と内容のイメージがマッチした、いい作品だ。
が、途中でオチが読めてしまうのが最大にして決定的な弱点。しかも、事件の全貌についてサリバンが気づくあたりの展開に何の工夫もなく、せっかくのクライマックスがシラケ気味。設定的にも演出的にも「あっ!」という鮮やかさがないのだ。そのために、それまで味わってきた「計算し尽くされた物語+映像」もコケオドシに感じられてしまう。惜しい。
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コメント
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投稿: カル | 2005/01/25 21:20