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2005/03/08

蝶の舌

監督:ホセ・ルイス・クエルダ
出演:マヌエル・ロサノ/フェルナンド・フェルナン・ゴメス/アレクシス・デ・ロス・サントス/ウシア・ブランコ/ゴンサロ・ウリアルテ
30点満点中14点=監3/話2/出3/芸3/技3

【少年モンチョの、かけがえのない季節が終わる】
 1936年のスペイン。喘息を患うモンチョは「ぶたれるから」と嫌がっていた学校へ通い始める。老教師のグレゴリオと心を通わせ、ロケという親友もでき、男女の逢引やサッカー、先生からもらった『宝島』、メスに花を贈る鳥ティロノリンコ、渦巻状になった蝶の舌、兄アンドレスが所属する楽団など、世界はモンチョの好奇心を刺激するもので満ちていた。だが、内乱の影がモンチョの村にも忍び寄り、悲しい別れが訪れる。
(1999年 スペイン)

【設定と画面のモヤモヤが感動を削ぐ】
 老教師グレゴリオとモンチョの交流の話、という体裁を取り、そのように宣伝もされているようだが、その実は反ファシズム・反イデオロギー映画。凄惨な描写を抜きに、戦争や思想や宗教が、いかにして人を人でないものにしていくか、争いが何を奪うのかを語る、反戦メッセージが込められた作品だ。

 その“奪われるもの”、すなわち、自然や詩や友人、それらと触れ合って過ごす平和なひとときを描くことに、大半の時間が費やされる。そうした幸福が奪われることの理不尽さ・残酷さを、やんわりとアピールするために。
 それは成功しているとは思う。モンチョ役のマヌエルは上手いし、モンチョとロケの妹アウローラのキスシーンも可愛くて、子どもが子どもとして健やかに育つための、かけがえのない時の流れを感じさせる。モンチョの兄アンドレス役のアレクシスも、好きになった中国人の女の子を見つけて俄然サックスの演奏に熱の入るシーンなど、表情は実に瑞々しい。
 が、肝心のグレゴリオ先生が、まったく魅力的な人物に思えない。どこかその辺でブラブラしている、ただの爺さん、というおもむき。彼の人となりを端的に示す印象的なエピソードも用意されておらず、教師としての信念とか、人としての芯が感じられず、「この人のおかげで、この大切な時間が生まれた」というイメージが湧いてこないのだ。

 ずっと「このワケのわからん爺さんに育てられるのって、ホントにいいことなの?」というモヤモヤした雰囲気を引きずって、ストーリーは進んでしまう。画面もまた(フィルムからDVDに落とし込む際の問題かも知れないが)アンダー気味で、明部と暗部の中間に露光が合ったような中途半端な明るさ。それがまたモヤモヤを助長する。立体感のあるカットも多く、絵作りの上手さも感じるのだが、そのモヤモヤがどうにも気になってしまう。

 グレゴリオ先生が生き生きとし、画面ももう少しスッキリとしていたなら、ラストでは感動できたと思うのだが、モヤモヤがあるために感動し切れなかった映画だ。

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