スパイダーマン2
監督:サム・ライミ
出演:トビー・マグワイア/キルステン・ダンスト/ジェームズ・フランコ/アルフレッド・モリナ/J・K・シモンズ
30点満点中16点=監4/話2/出3/芸3/技4
【悩めるヒーローは、ふたたび立ち上がることができるのか?】
学業、バイト、そしてスパイダーマンとしての活動と、今日も大忙しのピーター。すべてが中途半端となり、落第+金欠の危機を迎え、想い人であるMJともすれ違いの日々だ。そんな生活に疑問を感じ、スパイダーマンから引退する決意を固めるピーターだが、核融合の実験に失敗したオクタビアス博士が怪物ドック・オクと化し、スパイダーマンを父の仇として付け狙うハリーの思惑も絡んで、ピーターとMJにまたも危険が迫る。
(2004年 アメリカ)
【真っ当な続編だが、詰めが甘く奥行きが足りない】
パート1でもっとも印象的だったキスシーンが今回も重要な意味をもって機能したり、ヒーローとしての活動と恋との板ばさみになって苦悩するピーターの姿がクローズアップされていたり、コインランドリーでスパイダーマンのコスチュームを洗ったりコスプレと間違われたりなど笑えるシーンも相変わらず散りばめられていて、まさしく“ニヤニヤハラハラの青春ヒーロー活劇”の正当な続編といった作り。
しかも、シリーズものでありがちな「ここまでの経緯をクドクド説明してストーリーのリズムを損なう」という愚に陥っておらず、CGの質もアップ、ユニークでスタイリッシュなカットを違和感なくつなげるなど、全体の作りのグレードアップも感じさせる。
が、ドラマティックでない点が痛い。起承転結がスッキリまとめられ、特殊能力を身につけるまでと身につけてからの「描くべき出来事」がカッチリと盛り込まれいたパート1と比べ、モヤモヤとした雰囲気で進む。
暴走する電車を止めようとするシークエンスは感動的だし、「誰もがヒーローを待っている」という言葉から再生していくピーターの姿もいいのだが“ここから話が面白くなるぞ”という劇的な盛り上がり感に欠けるストーリーなのだ。序盤から中盤にかけてあれだけ「遅刻するピーター」が描かれているのだから、その点をストーリー展開やクライマックスのキーとして使う手もあったと思うのだが。
モヤモヤの原因は、キャラクター設定とその描き込みが不安定な点にも求められる。いつまでもウダウダクヨクヨして態度のハッキリしないピーターとMJは、そのウダウダクヨクヨが単なるウダウダクヨクヨとして描かれていて、ハっとさせられたり「ああ、青春だなぁ」と感じさせる印象的なエピソード・描写がない。前作に引き続き、ピーターの親友ハリーの立ち位置も不明確。なんだかパート3に続きそうな感じだが、ただ物語をモヤモヤズルズル引き伸ばすためだけの存在にも思える。
いかにも失敗しそうな実験が案の定失敗して科学者が凶暴化するなど、展開が“マンガ”なのはともかく、奥行きもペーパーのように薄いというのはいただけない。詰めの甘さを感じる作品だ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント