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2005/03/17

星に想いを

監督:フレッド・スケピシ
出演:ティム・ロビンス/メグ・ライアン/ウォルター・マッソー/ルー・ジャコビ/チャールズ・ダーニング
30点満点中12点=監2/話2/出3/芸3/技2

【大科学者と整備工の大ウソは恋を成就させられるのか?】
 自動車修理工のエドは数学者キャサリンにひと目惚れしたものの、彼女には心理学者ジェームスという婚約者がいた。エドのことを気に入ったキャサリンの叔父=かのアインシュタイン博士は、悪友の科学者たちと一計を案じ、エドを天才科学者に仕立て上げる。急速に距離を縮めるエドとキャサリン。ところがエドが発表したデッチアゲ論文『小型核融合炉による宇宙飛行』が大統領の目に留まり、大騒ぎになってしまう。
(1994年 アメリカ)

【驚くほど浅くて狭い、内容の薄い映画】
 監督の代表作は『愛しのロクサーヌ』、主演は個性と演技のバランスに秀でるティム・ロビンスと“ラブコメの女王”メグ・ライアン。このスタッフとキャストからは想像できないくらいデキが悪い

 たとえばエドがキャサリンにひと目惚れするシーンでは、申し訳程度にキャサリンの表情がスローモーションになるだけで、「直感で、この人と結ばれるとわかった」というエドが受けた衝撃が伝わってこない。
 エドの人物像も“SF雑誌好き”というくらいしか描かれておらず、なぜアインシュタイン博士がそこまで彼を気に入ったのかが判然としない。キャサリンの置かれている状況も「数学者として自信を失くしている」と博士のセリフによる説明だけで、実にアッサリ。婚約者ジェームスの存在もほとんど生かされていないし、何より、なぜキャサリンが天才に化けたエドに惹かれるのかがまったく描かれていない。
 とにかく演出にもお話にもキャラクター設定にも、広がりや奥行きがまったくないのだ。

 象徴的なのが、エドの才能に疑念を抱いたジェームスが、観衆の前でエドに知能テストを強いる場面。エドはアインシュタイン博士たちの機知でこのピンチを切り抜けることになる。笑いを誘うシーンではあるが、いきなりエドがパズルをスラスラと解くなんてまったくの説得力不足。本来なら、たとえばバラバラになったエンジンをあっという間にエドが組み立てるというシーンが先にあってこそ、この知能テストも生きてきたはず。
 ひたすら“浅く狭く”といった印象で、(長回しというほどではないが)カット数が少なく、画面にバリエーションやリズム感がないことも浅さを助長している。

 見どころといえば、アインシュタイン博士を好演したウォルター・マッソーくらいか。『キラキラ星』をフィーチャーした音楽も、まずまず。
 それ以外に関しては、ほとんど内容のない映画だ。

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