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2005/04/01

セレンディピティ

監督:ピーター・チェルソム
出演:ジョン・キューザック/ケイト・ベッキンセール/ジェレミー・ピヴェン/モリー・シャノン/ユージン・レヴィ/ブリジット・モイナハン/ジョン・コーベット
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4

【結婚間近の男+恋人のいる女性。出会いは偶然か、運命か】
 デパートのセール、1組の手袋を同時に手に取ったジョナサンとサラ。ともに惹かれあうふたりだったが「本当に運命的な関係なら、神様がもういちど会わせてくれるはず」と、サラは1冊の本に自分の電話番号を記して古本屋に売り、ジョナサンは紙幣に自らの連絡先を書いて世に放って別れる。それから数年、ジョナサンは本を見つけられず、サラのもとに紙幣は来ないまま、ジョナサンの結婚式の日が迫ろうとしていた。
(2001年 アメリカ)

【デキはいいのだが『情』の部分が物足りない】
 ひとことでいえば、オシャレな雰囲気の映画。ブルーミングデールやウォルドルフ・アストリア、セントラルパークのスケート場といったNYの人気スポットを美しく背景に据え、幸せなひとときや一気の時間経過をシャープに描き、軽快な音楽に乗せて、ストーリーはよどみなく進む。
 またロケーションは単なる“舞台”にとどまらず伏線としても機能し、手袋やポール・ニューマンの映画など小道具・セリフもそれぞれ意味のあるものとして扱われ、ふたりの職業もストーリーと微妙に関わりあっていて、まずまず練られた脚本だと感じさせる。ユージン・レヴィが演じるデパート店員とジョナサンとの掛け合いは爆笑モノで、いいアクセントだ。
 少しばかり都合が良すぎる展開じゃないか、とも思えるが、それが気にならないほどテンポが良く、全体に渡って「収まりがいい」映画だ。

 が、じゃあなぜときめかないかといえば、1つには、ジョナサンとサラ、ふたりの主人公があまり魅力的ではないからだろう。
 サラ役のケイト・ベッキンセールは(好みじゃないことは置いておくとして)ラブコメのヒロインにしては印象が尖りすぎているように思える。ジョン・キューザック(こっちは嫌いじゃないけれど)演じるジョナサンも、「無茶だと思うことにも突き進む」という設定であり、健気さも持つ人物のはずなのだが、フワフワと浮わついた雰囲気が先に立ってしまっている。普通の人に訪れる劇的な運命、という筋立ての中でアクセクするふたりが、どうもツンとしていたり軽かったりして、なんかこう「勝手にやってればぁ?」という気にさせられるのだ。

 切なさ、じれったさの欠如も痛い。「あーもう、どうしてそっちへ行っちゃうんだよ」とか「そんなことで悩むなよぉ」「そうなんだよねぇ、実際のところ、どうしようか苦しむよねぇ」といったヤキモキジリジリを盛り込むのがラブコメのセオリーであるはず。だが、それがない。
 結果として、センスあるヴィジュアルと音楽、テンポの良さが逆に災いして「ただオシャレなだけ」という感じになってしまっているのだ。

 悪い映画ではなく、むしろ、きっちりとまとめられて良く出来ている作品だと思う。それだけに余計、主役たちの人間的な魅力や「もし自分だったら」と考えさせる『情』に訴えかけてくる部分が、少ないことが惜しまれる。

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