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2005/04/13

4人の食卓

監督:イ・スヨン
出演:パク・シニャン/チョン・ジヒョン/ユソン/キム・ヨジン
30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4

【決して開いてはならない、記憶の扉】
 フィアンセであるヒウンとの結婚式を間近に控えるジョンウォンは、地下鉄で偶然乗り合わせた2人の幼い少女が、その母親に毒殺されたことを知る。以来、少女たちの幻覚に悩まされるジョンウォン。そんなときに出会ったのは、やはり少女たちの姿が見えるという人妻のヨン。幻覚の原因を探ろうと彼女に近づくジョンウォンだったが、ヨンは突然卒倒してしまう嗜眠症という精神の病と、その裏に潜む大きな秘密を抱えていた。
(2003年 韓国)

【シャープな画面で、静かなミステリーを作り出す】
 あのチョン・ジヒョンが殺到するオファーの中から選んだ待望の新作、というインチキ臭い売り文句に反して、なかなかしっかりと作られていて面白い作品だ。およそハッピーエンドも笑顔も望めそうにないヨンという役柄を演じ、女優としての新たな魅力に触れることもできる。
 ただ“人”を描き切れていないのは弱点。ジョンウォンやヨンが抱く恐れや苦悩ばかりが前面に出て“そのキャラクターの人となりを示す、ちょっとした仕草やなにげないエピソード”が盛り込まれていないため、深みや濃密さには、やや欠ける。

 物語は、ヤンジャンやアフタヌーンあたりで人気が出た漫画家の初期短編集、というノリ。思わせぶりで、作者の自己完結の雰囲気もあり、だからどうしたというストーリーともいえて好みがわかれるところではあるだろうが、静かな恐怖と謎をジワリと語る。ジョンウォンの職業がインテリア・デザイナーという設定も無駄になっていない。
 絵作りも、コミックに近い。カメラは、ほぼ固定。だがカット割りは適確で冗漫にならず、色調を落として幻影的かつシャープなカットが続く。何より目立つのが照明の使いかたで、画面内に光源をさりげなく配し、あるいは強すぎる窓外からの光を置き、表情や部屋の隅に陰を作って、人の心の中には必ず陰の部分があるということを暗示(または明示)する。

 無機的でグラフィカルな絵柄の連続ではなく、回想の挿入、スピード感ある編集など、全体に渡っての流れもいい。必要以上のことを画面やセリフで説明せずに、観るものに考えさせ、少しずつ事実を浸透させていくという手法にも好感が持てる。

 印象としては、大友克洋以来の系譜である「細部まで気を遣ったシャープな絵で描かれたサイコホラー」を、そのまま映画にしたような作品。そういう意味では“読みごたえ”のある仕上がりだ。

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