ターンレフト ターンライト
監督:ジョニー・トゥ/ワイ・カーファイ
出演:金城武/ジジ・リョン/テリー・クワン/エドマンド・チャン/
30点満点中15点=監4/話2/出3/芸3/技3
【すれ違いばかりの彼と彼女。出逢えるのは、いつ?】
売れないバイオリニストのジョンと、美しい詞を愛する翻訳家のイブ。偶然出会ったふたりは、おたがいが13年前の初恋の相手だと知り、電話番号を交換して別れる。ところが雨のために文字が消えてしまい、連絡が取れず、なかなか会えない日々。実は隣同士のアパートに住んでいるというのに……。おまけにジョンにひと目惚れした女の子やイブに心を寄せる医者がふたりの恋路の邪魔をして、さらに話はややこしいことに!
(2002年 香港/シンガポール)
【オチが、オチが、オチがぁ……】
ひじょうに評価の難しい映画。
いや、99分の上映時間のうち最初の90分は、なかなか良く出来ているのだ。
雑踏に咲く黒い傘の花の中、緑の傘を持ったジョンと赤い傘を持ったイブが少し離れた位置にいる印象的なオープニングが、その後の展開を期待させる。そして、その期待通りにストーリーは転がる。
ふたりの出会いと、その後のユーモラスなすれ違い(かたやいつも左に、かたやいつも右へと走り出す)に思わず笑みがこぼれる。ポイントとなる場面ではジョンのバイオリンやイブが詠唱する詞が効果的に使われ、会いたくても会えないふたりの心情を描き出す。留守番電話やカルーセルの木馬、赤ん坊や犬などもお話の中で生きている。
キャスティングにも好感が持てる。金城武は必要以上にカッコ良くも悪くもなくて「クラシック志向が強いけれど、まだ進むべき道を見つけられずにいるバイオリニスト」に(指使いは怪しいが)ハマっている。イブ役のジジ・リョンも悪くはない。いずれもテレビ的な、ちょっとオーバーでわかりやすい演技だが、それがかえって親近感を抱かせるキャラクターを作り出している。このふたりの周囲でストーリー進展のカギをにぎる食堂の女の子&医師のコンビは、逆に多少オーバーアクションなところがコミカルに作用して、なかなかいい。
クレーンの多用で内容の割には大仰になっている画面や音楽がキャッチーでない点は気にかかるものの、全体として流れもまとまりもいい作品になっていると感じられた。
ところが、この好感度はラストでブチ壊しになる。“あんまり”なオチなのだ。確かに前半から「ありえない」というか、ある意味では無理やりなコメディ&ファンタジーではあるが、その無理やりを愉しく軽快に描いて愛らしい映画となっていたのに、こんな、正真正銘無理やりの説得力に欠けるオチではシラケてしまうじゃないか。
偶然が運命に変わる、その感動を待っていたのに、どうしてくれよう。
いや、テレビコントとして考えれば、このオチも笑って見られるかも知れない。けれど、あっと驚く(もちろん説得力もある)ドンデン返しを用意していたり、それなりの伏線を張ってその解決で幕を閉じたり、そうした工夫があってこそ、それまでの90分も生きるはず。
おかげで欲求不満がたまり、その他のマズイところまでも浮き上がってくる。たとえば、ふたりのアパートの大家さんたち、イブに恐怖小説の翻訳を命じた編集長、ジョンを雇ったオーナーシェフといった脇役に、活躍の舞台がほとんど与えられていなかったなぁとか。そういえば女の子&医師コンビも、ラストでは「ほったらかし」だし。
オチの処理さえ練り直せば、かなりの良作になりえるのだが……。
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コメント
ご丁寧なコメントありがとうございました。
気恥ずかしさを堂々と描くのは勇気がいることです。しかし陳腐な台詞さえ排除すれば、そのメッセージを受けとってくれるアンテナを持つ人間はどこかにかならずいるものです。
そんな人にとって心地よい小品ながら、あまり世間で評価が高くないのが残念です。
またマイブログへのご来店お待ちしております。
投稿: まつさん | 2005/05/17 09:44
TBありがとうございました。
ラストの展開は賛否両論ですが、元々隣同士で出会わないという展開なので許せました(笑)。
お邪魔虫2人も最後まできっちり描いて欲しかったのは同意見です。
これからも宜しくお願いします。
投稿: syosei7602 | 2005/05/16 00:03
こんにちわ★
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ではこれからも頑張って下さい☆
投稿: 人気BLOGランキング | 2005/04/08 17:22