恋愛適齢期
監督:ナンシー・マイヤーズ
出演:ジャック・ニコルソン/ダイアン・キートン/キアヌ・リーヴス/フランシス・マクドーマンド/アマンダ・ピート
30点満点中17点=監3/話4/出4/芸3/技3
【中年男女の、恥ずかしくて、いじらしい恋】
いくつもの会社を経営するハリーは、20代の女性にしか興味のない中年プレイボーイ。恋人マリンとともに彼女の別荘で愉しい時間を過ごすつもりが、彼女の母親で劇作家でもあるエリカと鉢合わせ、しかも心臓発作でダウン、そのまま別荘で療養することになる。やがて心を通わせるハリーとエリカ。ところがハリーを診た医師ジュリアンがエリカにひと目惚れして猛アタックを開始、エリカの元夫の再婚話に娘のマリンはパニックになり……。
(2003年 アメリカ)
【作りの甘さはあるが、ハッピーになれる】
見どころは、やはり演技陣。ハリー役のニコルソンは適度に力を抜いていて「今回は女優陣や若い人に花を持たせようか」という余裕も感じられていい感じ。マリンのアマンダ・ピートは可愛いし、フランシス・マクドーマンドは目を剥いて立っているだけで存在感たっぷり。キアヌも、気のいい医師を無理なく演じている。
そして、エリカ役のダイアン・キートン。おたおたと戸惑う様子も恥じらいも号泣も、実にチャーミングだ。
そうした人々の動かしかたは、ふたりの人物の会話シーンが多く、しかも肩ナメのカットをつなぐ手法が目について、やや単調。選曲や音楽の使いかたも“ベタ”だ。絶妙のタイミングで次のシーンへ移行する巧さを見せる反面、カット間のつながりに不自然なところもある。
が、全体として憎めない雰囲気も持っている。監督は『赤ちゃんはトップレディがお好き』や『花嫁のパパ』(ともにチャールズ・シャイアー監督でダイアン・キートンが出演)の制作と脚本を務めた人物で、その2本同様、ジックリと掘り下げるわけではないけれど、大爆笑の中にシンミリと考えさせるところも上手に盛り込んだ、緩急の効いた内容と作りになっていると感じた。
特にラストシーンが印象的だ。それまで、いくらコメディとはいえ中年の男女が出会って短期間で恋に落ちるってのは、ちょっと想像しにくいよなぁとか、ハリーやエリカの心の機微も十分に描き切れていないような気がするし行動にも少し唐突なところがあるよなぁと感じていた不満が、パっと解消する。
恋愛関係や家族関係の作られかたにもいろいろなパターンがあって、ひとつの幸せを掴むために通らなければならない道も人それぞれ。そんなことを実感できるシーンで、『恋愛適齢期』というタイトルにも納得できるエンディングとなっている。
これだっ、という爆発的な決め手はなく、作りの甘さを感じる映画ではあるものの、観てハッピーな気分になれる可愛らしい映画である。
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