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2005/05/25

ブラッド・ワーク

監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド/ジェフ・ダニエルズ/ワンダ・デ・ジーザス/ティナ・リフォード/アンジェリカ・ヒューストン
30点満点中15点=監3/話2/出3/芸3/技4

【捜査官を救った心臓移植。臓器提供者は殺人事件の被害者】
 捜査陣への挑戦と暗号とが犯行現場に残される連続殺人事件。FBIのマッケイレブは犯人らしき人物を追い詰めるが、あと一歩のところで心臓発作に襲われ倒れてしまう。それから2年、心臓移植の手術を受け、FBIからも退いたマッケイレブ。彼のもとにドナー(心臓の提供者)の姉グラシエラが訪れて「妹を殺した犯人を捕まえて欲しい」と依頼する。捜査に乗り出したマッケイレブは、次第に2つの事件の真相へと迫っていく。
(2002年 アメリカ)

【イーストウッドにプロファイラーは無理?】
 照明やアングルに気を遣った、暗くて渋い画面。ぎりぎりまで抑えられたBGM。それらが作り出す、じっくりと腰の座った雰囲気。
 いかにもミステリアスな見た目を持つ作品なのだが、サイコ・サスペンスとしては、ちょっと弱い

 マッケイレブが倒れるまでの序章から2年後の物語へ、そして解きほぐされていく、さまざまな謎。その流れの良さや構成の堅実さは評価できるのだが、マッケイレブが捜査に乗り出す動機づけの弱さ、マッケイレブとグラシエラの結びつきの不確かさ、あまりにも都合よく進む捜査……と、ところどころに「流れを良くするために、あまり描き込まなかった部分」があり、それが舌ざわりの悪さとなってしまっている。

 連続殺人鬼が知能犯に見えないのも痛いが、イーストウッドが腕利きのプロファイラーに見えないのは、もっと痛い。反面、ショットガンをブっ放したり、有無を言わさぬ頑固さと閃きで事件を解決に導いていく後半はグっと魅力的になる。やっぱりこの人、銃を持ってナンボなんじゃないだろうか。
 つまり知能vs知能の対決になっていないのだ。『セブン』(デヴィッド・フィンチャー監督)や『羊たちの沈黙』(ジョナサン・デミ監督)といったサイコ・サスペンスの傑作を観た後では、どうにも薄ぅ~いストーリーに思えてしまう。

 が、最大の短所は、お話がミエミエということ。「あ~、そういうことなのね」と早々に気づき、その時点で観ている側はシラケてしまう。また事件の真相は当事者たちを暗い気分にさせる性質を持つはずのものなのに、その“やるせなさ”も伝わってこない。伏線の張りかた、謎をより謎めいたものにするための味付けやミス・ディレクションの手法がこなれていないせいだろう。どこでどれだけのことを明らかにし、誰にどんなリアクションを取らせるのが効果的なのかという方法論も煮詰められていないように思える。

 ジワリと恐怖がしみわたるスリラーを目指したはずが、そこまでには至らず、かといってアクションにするわけにもいかず、どうも中途半端になってしまった作品だ。

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イーストウッドの映画は多くて 見たのか見てないのか わからないものが多い。 でも、ブラッド・ワークは初見のようだ。 イーストウッド、御歳72歳。 もう、アクションは無理か。前半で息切れ、 心臓病になっちゃった。 というのは、おいといてーー さすがだねー。刑... [続きを読む]

受信: 2005/09/01 06:41

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