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2005/06/16

dot the I

監督:マシュー・パークヒル
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル/ナタリア・ベルベケ/ジェームズ・ダーシー/トム・ハーディ/チャーリー・コックス
30点満点中16点=監3/話3/出3/芸3/技4

【許されぬ恋に落ちたふたり。だが、その陰には……】
 青年富豪バーナビーとの結婚を控えるカルメン。ウェイターから「今夜は独身最後のパーティー。ここにいる男性ひとりとキスすれば幸せになれるという風習がフランスにはある」と聞かされた彼女は、たまたま同席になった俳優志望のキットを選び、唇を重ねる。だが翌日からカルメンは、キットに付きまとわれることに。バーナビーを裏切れないと悩みながらも、彼に惹かれていくカルメン。そんなふたりを陰から見つめる目があった……。
(2003年 イギリス/スペイン)

【若さのある映画で、オチがチープな割にツマラナクはない】
「予感を誘うオープニングですね」
「ホームビデオで撮ったカルメンの姿ね。本編中でバーナビーとカルメンとの出会いは詳しく語られない。その代替として、このオープニングがある。このふたりが微笑ましく愛を紡ぎあってきた過程というのかな。そこに、なんだかわからないけれど意味ありげなカットが挿入される」
「本編でも、バーナビーとカルメン、あるいはキットとカルメンの絡みの合間に、ホームビデオで撮影したらしい映像が挿入されます」
「オープニングから前半にかけては、ラブストーリーというか、カップル+ストーカーのキット君という三角関係の愛憎劇を見せられることになるんだけれど、こうして時おり色合いの異なる映像が挟まれて、これはただの愛憎劇じゃないぞと警戒を強いられるわけだ」

「そのラブストーリー部分、ちょっと舌足らずでした」
「うん。全体としてカルメンがキットに惹かれる動機が希薄だよな。カルメンの父親と同じように、キットもワインをグラスではなくコップで飲むというエピソードはあるんだけれど」
「バーナビーが浅はかでイヤな奴っぽいのはわかるんですが」
「後半でさらに浅はかなことを露呈するんだけれど、とりあえず前半ではワインをグラスで飲む。しかも『せっかく買い揃えた高いグラス』で(笑)」
「でも、カルメンの愛は金目当てじゃないんですよね」
「バーナビーも、たまに優しさを見せる。カルメンには、マドリッドにいた頃に悪い男に引っ掛かったという過去があって、それをバーナビーが癒してくれたんだろうということもわかる。でも、そのあたりをしっかり伝えるためには、あのオープニングだけじゃ不足だったかも知れないな」

「で、後半で“仕掛け”が明らかにされます」
「まぁ前半から、誰が裏で糸を引いているかはミエミエなんだけれどね」
「詳細は省きますが、一応はミスディレクションの工夫はありました」
「その工夫も、こっちはハナっから『こういう仕掛けだろう』と予測しながら見ているから、バレバレ。でも、いきなり『あれ、コイツが元凶だと思ってたんだけれど違ったの?』と思わせる展開に持ち込む。そのあたり、単純な一発仕掛けではないわけで、仕掛け映画を期待して観ている人への『ね、驚いたでしょっ』というサービス精神も感じられるし、評価していいんじゃないかな」

「ただクライマックスでの、仕掛けのバラシかたは……」
「セリフに頼りすぎだよな。でも、長ゼリフや説明口調に聞こえないように気を遣っていたんじゃないか」
「そもそもの始まりを見せてくれる回想シーンですね」
「現在から過去への遡りかたが秀逸でしょ。『実は……』っていってカメラがグルリと360度パンして、元の位置に戻ったときに、舞台は過去になっている。なんてことはないんだけれど、わかりやすくて鮮やか」
「他のパートでも、映像はシャレていました」
「抱き合ったバーナビーとカルメンのカットが、その姿勢のままベッドシーン後のカットにつなげられたりとかね。この印象的な場面は、後々にも生かされている。仕掛けに関する映像を挿入するタイミング、仕掛け・展開と映像との関係もなかなか面白かったと思う」

「仕掛けそのものは、どうということのないレベルでした」
「やっぱりね、という感じ。ラストの展開もちょっと強引だし。DVDのパッケージで『二転、三転』とか『結末は話さないで』と仰々しくアピールするほどのものではない。とはいえ、破綻のないように、ヒントも散りばめながら、一所懸命にまとめたという雰囲気は出ている。こういうストーリーを映画でやりたい、という若さを感じる映画、といったところかな」
「そういえば、若い役者さんしか出ていませんでしたね。それぞれ役にもピッタリとハマっていて、味もありました」
「主演3人は、演技というよりキャスティングの勝利だろうね。キットとつるんでいるふたりの男、トムとテオも、いかにもこういう仕掛けの中で嬉々として跳ね回っている連中という感じがして憎めない」
「監督自身は、小説家で、大学で教鞭をとっていたこともあるらしく、写真でみるとナイスミドル。そんなに若い人ではないみたいですよ」
「そうなの? サンダンス映画祭で評判だったっていうから、てっきり若い人の作品だと思ってた。出演者が若かったから、そう感じたのかな。その若さがあると同時に、多少はバレバレのストーリーでも、しっかりと組み立てているから、あまり悪い映画には思えないのかも知れないな」

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