エイリアンVS. プレデター
監督:ポール・W・S・アンダーソン
出演:サナ・レイサン/ラウル・ボヴァ/ランス・ヘンリクセン/ユエン・ブレムナー/コリン・サーモン
30点満点中16点=監4/話2/出2/芸4/技4
【最強VS最凶。ふたつの種が、地球上で激突!】
ウェイランド社の衛星が南極大陸の地下に熱源があることを関知する。どうやら古代文明によるピラミッドが埋もれているらしいと知った社長のウェイランドは、雪原を得意とする女性冒険家のレックスや考古学者セバスチャン、化学工学者のミラーといった専門家を集め、探査に赴く。縦孔を下り、ピラミッドへと足を踏み入れた一行を待っていたのは、巨大トカゲのような化け物=エイリアンと、鋭い槍を持つ甲冑姿の怪物=プレデターだった。
(2004年 アメリカ)
【IQ低し! わずか100分のバトルに過度の期待は禁物】
「ジゴロウさんが『エイリアンを投げ飛ばすなんて初めて。しかも重さが感じられる』と誉めたのに対して、木村カエラちゃんは作品そのものを『ダメだね』と喝破していました」
「ああ、どっちも正しいんじゃないかな。全体として『ま、こんなもんだろ』というのが妥当な評価だと思う」
「期待していなかったんですか?」
「んや、期待は大だった。だって異種格闘技戦だもん。『マジンガーZ対デビルマン』の時代から大好きな題材だよ」
「ちょっと違うような気もしますが」
「観る直前に期待がしぼんだ。『100分かよ』って」
「確かに、興味深い激突なのにアっという間にエンディングでした」
「キャラクターの濃い怪物どうしの闘いなんだから、どう考えたって2時間は必要でしょ。100分? こりゃあ内容は薄いぞ、という予感的中」
「単に短いだけじゃないようにも思います」
「ピラミッドに到達するまでが第一部、バタバタと人間がやられていくのが第二部、逃げ道の途中にある亀裂を飛び越すあたりからが第三部とすると、『面白くなってきたぞ』と感じる第三部のボリュウムが、いちばん少ない」
「体感的には、第一部:第二部:第三部が4:4:2くらいでしたね」
「盛り上がってきたぞぉと思った途端に終わる。本来は3:4:4くらいにすべきじゃなかったのかな」
「第一部から第三部まで、それぞれの内容にも問題がありそうです」
「まず第一部はクドい。『衛星』とか『ネパール』とか『砕氷船』とか、やたらとスーパーが入るし、社長を中心としたブリーフィングもセリフによる説明過多。かと思えば登場人物の紹介は、メインの3~4人だけ」
「テンポが悪いわけではないんですけれどね」
「うん、いろいろと詰め込んではあるんだよ。デジカメとか、PSR(航空機が出発地に引き返せる限界点。積載燃料が半分になったところ)とか、ふたりの子供、雪上を得意とするレックスのキャラクター設定……。ふむふむこれは後々にある見せ場のための伏線だぞ、と思わせる」
「ところがいつまでたっても、それらの設定や小道具が生かされる場面は来ないんですよね。別にレックスは雪山が得意じゃなくても問題ないわけですし」
「そうなんだ。意味のないことばかりやってるんだよ、第一部は」
「第二部は暗いピラミッド内部。しかも1カットが短めで、何が起こっているのか判別しにくかったのですが」
「いや、これで正解。何がどうなっているのか、わからないくらいがちょうどいい。1st『エイリアン』(リドリー・スコット監督)は、そのおかげで恐怖感が倍増していた。ハッキリ見えない怖さ、ね。今回はあまり成功していたとはいえないけれど、とりあえず閉じ込められてるぞー、追い詰められてるぞーとわかれば、それでいい」
「でも、しきりにコンパスを見たり、状況をセリフで解説したり、相変わらず説明過多なのも気になりました」
「あと、都合も良すぎるよ。古代文字をスラスラ読んでさ。評価したいのは美術面かな。石のトビラの重さとか冷気とか湿り気とかを感じられるセットになっていた。CGや合成といった特撮も頑張っていたんじゃないか」
「で、第三部です」
「第二部も含めて、アクションにはそれなりに迫力はある。でも、エイリアンの頭を盾にするのが面白いくらいで、ヒネリも工夫も新鮮味もない」
「かといってセオリーを踏まえた演出も希薄でしたね」
「助かったと思ったら、また出た、というのはあったけれどね。この手の作品ってさ、やっぱり最後はジャジャジャ~ンって音で盛り上げておいて、あっと驚くアイディアで敵を追い詰めて、音がピタリと止まって『くたばれ、化け物』、で、ドカーンっていう締めにしてほしかったなぁ」
「過去の『エイリアン』や『プレデター』のファンへ向けてのサービスも少なかったように思います」
「ウェイランド社長役でランス・ヘンリクセンは出ていたけれど、なんか、ただ出てただけ。身体の悪いこの人が、必死になってサイボーグ技術に大金を費やして、それでアンドロイドのビショップが誕生したっていう隠し設定があるのかと思えば、それもないし」
「エイリアンの見せ場が少なくて、ランス・ヘンリクセンの起用以外は『エイリアン』に対するリスペクトが少なかったようにも思えます」
「そんなこんなで、全体として薄味かつ短めの仕上がりだったな」
「ひょっとすると相当のシーンがカットされているのかも知れません」
「そのわりに説明しすぎ。IQの低い映画だよな。そのぶん何も考えずに観られるし、第二部以降にスピード感だけはある。別に面白くないわけじゃないから、退屈しのぎにはちょうどいい、くらいのデキかな」
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