ツイステッド
監督:フィリップ・カウフマン
出演:アシュレイ・ジャッド/サミュエル・L・ジャクソン/アンディ・ガルシア/デヴィッド・ストラザーン/キャムリン・マンハイム
30点満点中14点=監3/話2/出3/芸3/技3
【彼らを殺したのは、わたしなの……?】
警官だった父が母を殺し、父自身も死を選んだ凄惨な事件から25年。ジェシカもまた優秀な警官となったが、トラウマからか、好んで危険な現場へと飛び込み、バーで男を漁る生活を送っていた。親代わりを務めるミルズ本部長の後押しもあって昇進を果たし、サンフランシスコ市警の殺人課へと配属されるジェシカ。その頃から、彼女と関係を持った男が次々と殺されるようになる。事件当夜の記憶がないジェシカは自身を疑うが……。
(2004年 アメリカ/ドイツ)
【事件・ストーリーに深みがないテレビ向きサスペンス】
「97分か。それでも、まだ長いな。45分程度に再編集してテレビスペシャルにすれば、それなりにいいモノになったかも知れん」
「主役のジェシカ、ほとんど酔っ払って寝ているだけですからね。詰めようと思えば詰められそう。画面・編集もテレビ向きですし」
「確かにスピード感というか、体感的な軽快さはテレビ向きだな。会話だけの場面でも短いカットをビシバシとつないで、シーンそのものも短め」
「観るものの目を幻惑するかのようです」
「でも、意図がハッキリした画面作りとはいえる。真犯人が明らかになる場面ではフラッシュバックを使って『いま、ジェシカが気づいた』とわからせたり、まぁまぁ説得力はあるんじゃないかな」
「ただ、なんだか全体に暑苦しい画面でした」
「表情のアップ~バストショットが中心で、画面の変化は乏しい。トラウマに悩むジェシカの内面が一応のキーとなっているから、寄りめの絵が多いのは納得できるプランニングだけれど、むしろアシュレイ・ジャッドの立ち姿が魅力的でもないし警官っぽくもないから、フルショット~ロングでは撮れなかったんじゃないか」
「ジェシカ、年齢不詳で不気味なところもありましたからね」
「あとは、フィルモグラフィがB級サスペンスであふれかえってるサミュエル親父のミルズ本部長、アル・パチーノへの道一直線のアンディ・ガルシア=相棒のマイク、それからデヴィッド・ストラザーン演ずるカウンセラーのフランク、ジェシカの元カレであるジミー、アパートの向かいに住む老婆。観客に謎解きと犯人探しを楽しませようとしたんだろう、怪しげな人物はあちこちに配されている。ところが、誰かが気になる行動を取ったり新事実が浮かび上がったりといった展開にはならずに……」
「なんか、ラスト10分で急転直下の解決、でしたね」
「しかもだよ。『問題は動機だ』とかいっていながら真犯人の動機は『殺したくなったから』って」
「をぃをぃ、ですよねぇ」
「誇大広告だな、『ツイステッド』っていうタイトル。ぜんぜんヒネってねーもんな。被害者がジェシカと関係を持った男たちである必然性もほとんどない。凶器が柔スティックであることも物語との関連性が薄いし」
「あ、あれ現実に米警察で採用されている武器みたいですよ」
「武器が現実だろうが、事件・ストーリーに深みがないとどうしようもないんだよ」
「監察医のリサ、もうちょっと出番が欲しかったところです」
「なにせ史上最高のTVドラマ『ザ・プラクティス』で長年エレノア・フラットを演じた、あのキャムリン・マンハイムだからな」
「どうしてもエレノアにしか見えなくて困りましたけど」
「エレノアのときより渋く抑えた演技だったぞ。貫禄の体型女優だけに全身がほとんど映らない役なのが、いかにももったいない」
「どちらかというと個性派。役柄は限られると思いますけど、今後の活躍を期待したい女優のひとりですよね」
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