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2005/06/07

10日間で男を上手にフル方法

監督:ドナルド・ペトリ
出演:ケイト・ハドソン/マシュー・マコノヒー/キャスリン・ハーン/アニー・パリッセ
30点満点中18点=監4/話4/出3/芸3/技4

【フラれたい女と、恋人を作りたい男の出会い】
 女性に大人気の雑誌『コンポージャー』でハウツー記事を担当しているアンディ。彼女が出したアイディアは、恋人が嫌がることを実践して記事にまとめる「男を失う方法」。締切までは10日、早速恋人探しにエグゼクティヴたちが集まるレストランへと出かけるアンディ。いっぽう広告マンのベンは大口の顧客を獲得するために「10日で恋人を作る」という賭けをする。そんなふたりが出会ってしまったから、さぁタイヘン。
(2003年 アメリカ)

【要所要所のリアリティが笑いを確かなものにする】
「かなりゲラゲラと笑っていましたね」
「久しぶりに、素直に笑えるコメディだった。記事のネタvs賭け、ふたりの周辺事情、そういった設定がキチンとしているから、スンナリと映画に入って行けるんだよ。いや実際にはありえない設定かも知れないけれど、ふたりが出会うことにも、編集者や広告マンであることにも、ちゃんと必然性と意味を持たせてある」
「ラブコメには、その職業でなくてもいいじゃん、と思わせるものがけっこうありますからね」

「実践される『男が嫌がるコト』も説得力抜群だね。もし自分があんなことされたら、確かに怒るっていうか、呆れるもん」
「いろんな人から、恋人と別れた原因をリサーチしたんでしょうね」

「うん。それって当たり前のことなんだけれど、リサーチした結果のまとめかたも含めて丁寧な仕事の脚本だよ」
「いちいち笑わせてもくれますし」
「単に説得力があるだけじゃなく『あ~あ、やっちゃった』とか『そこまでするか』って、笑える描きかた。さりげなくペアルックを着させたりして、クスリとさせるんだよな」

「全体にわたってテンポも軽快でした」
「ベンが鉢植えをヘルメットに突っ込んでバイクにまたがるカットとかさ、とにかくピシっと画面が決まっている。それをリズミカルにつないでいるから程よいスピード感がある」
「説明過剰になっていないことにも好感を覚えました」
「特にイイのが、賭けを始めたベンが『じゃあ誰を恋人にするか』って同僚の女性たちと相談するシーン。その同僚たちにとってはベンが失敗してくれたほうがいいわけなんだけれど、程度の低い脚本・演出だと『ほら、彼女は男に嫌われる方法を実践しようとしている記者よ。ベンが彼女にアタックしても失敗するに決まっているわ』とか、クドクド説明しちゃう」
「それを、アンディの姿を見つけた同僚の“ワルダクミ顔”だけで処理していました」
「全体に、表情だけでそれぞれの打算や心情をわからせるという演出プランだったな。だから、顔のアップ~バストショットが中心の絵作りでも冗漫にならない。音楽も、しゃしゃり出るわけじゃなく、ふと気づくとシーンを盛り上げたり雰囲気を作ったりするレベルに統一されていて、コンパクトなコメディらしく、大仰になっていないのがいいよ」

「あまり突っ込みどころはありませんか?」
「いや、山ほどある。まずアンディがコロンビア大でジャーナリズムを専攻した才女には見えない」
「バカではないけれど、そこまで理知的ではありませんでしたね」
「あと、アンディにまったく生活観や背景がないこと。『本当は経済や国際情勢について書きたい』と思っているのはいいとして、それができない辛さとか、ひとりで生活する寂しさがあって、はじめて……」
「ああ、ベンの家族に会って、その温かさに感動するというシーンにも説得力が生まれるはず、と」
「そう。いっぽうベンのほうも、アンディにマジ惚れする動機に欠ける。さんざん彼にヒドイ仕打ちをするアンディのどこかに、可愛いところを見つけ出すシーンが欲しかったところだね。つまり、設定と流れの良さを生かしたいがあまり、“動機”という面が疎かになっちゃったストーリー、という感じだな」
「でも、理知的じゃないくせに経済や国際情勢を書きたいと考えていたり、バカなことばかりするけれどキュートっていう自分の周囲にはいないタイプだからというだけでマジ惚れしたり、結局どちらも浅はかだったから成立したコメディだと考えればどうですか」
「そういう意味ではリアリティあるな。あの編集部も、ホントに編集部っぽかったしね」
「ちょっと作りの甘さはあるけれど、男が嫌がるコトのもろもろといい、そこかしこに小っちゃなリアリティがあって、それをテンポ良く詰め込んだから成功した映画、といったところでしょうか」

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