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2005/07/16

スター・ウォーズ エピソードIII シスの復讐

★10000HIT御礼企画 SWサーガ一気SP その6★

監督:ジョージ・ルーカス
出演:ユアン・マクレガー/ヘイデン・クリステンセン/ナタリー・ポートマン/イアン・マクディアミド/サミュエル・L・ジャクソン/クリストファー・リー/ジミー・スミッツ/テムエラ・モリソン/フランク・オズ/ケニー・ベイカー/アンソニー・ダニエルズ
30点満点中20点=監4/話3/出3/芸4/技6

【闇に堕ちたアナキン。ダース・ベイダーが誕生する】
 オビ=ワンは、分裂主義者たちの首領グリーバス将軍を追討すべく惑星ウータパウへと向かう。いっぽうパドメの妊娠を知って喜ぶアナキンは、同時にジェダイの掟に背いていることにも悩む。さらにアナキンを襲う“パドメの死”という予知夢。そんなアナキンにパルパティーン最高議長は「フォースのダークサイドを知れば、死をも越えられる」と告げ、自らがシス卿であることを明かす。いったんは誘惑を振り払ったアナキンだったが……。
(2003年 アメリカ)

【抜群の臨場感と、空想歴史絵巻としての魅力】
 歴史を語るより、未来に思いを馳せるほうが思考のレベルとしては高い位置にある。というようなことをいったのはハインラインだったか。
 歴史モノより空想未来を舞台とするストーリーを好むものとしては断然支持したい意見ではあるが、とはいえハインラインも『未来史』という大きな“歴史”を作り上げ、その業績に対する評価は大。ブリンの知性化シリーズにしろニーヴンのノウンスペースシリーズにしろ、一筋の時間軸に存在する複数の物語を紡いだ『未来史』モノは、実に魅力ある作法であると思う。1つのエピソードが過去と未来をつなぐ、誰かの存在が別の誰かの生涯に影響をおよぼす。そんなダイナミズムを味わえるからだ。
 発達した科学技術、新発見、解体され再構築された社会システム。そうした未来世界を垣間見ることを望みながらも、人は、壮大な歴史絵巻もまた渇望しているのである。

 で、SWサーガ、いよいよ完結。新3部作と旧3部作とをつなぐ大いなる架け橋が、ようやく渡された。
 結論からいえば、チュー・バッカやレイア姫の育ての親ベイル・オーガナの登場、帝国の設立とジェダイの崩壊など、必要な要素をきっちりと入れ、架け橋としての役目を十二分に果たしたばかりでなく、ダース・ベイダーの誕生と最期(エピソードVI)をつなぐ物語も完成させて、期待通りの仕上がりとなった。
 1本の劇場映画としての完成度は同時期に公開された『宇宙戦争』(スティーブン・スピルバーグ監督)のほうが上だが、西部劇+時代劇+戦争映画+ファンタジー+海賊映画+歴史絵巻+ハードボイルド+師や父を越える子の物語=スペースオペラという、壮大な空想歴史絵巻を作り上げたことに対する感謝を、ルーカスには捧げたい。

 いや、単独の映画としての楽しさも『エピソードIII』にはある。いうなれば、ギッシリ感。とにかく、見どころ満載だ(ついでながら、パンフレットもまた見どころ満載。800円の価値はある)。
 まずはR2-D2の大活躍。前作では相棒C-3POに美味しいところを全部譲ったが、本作では「ホントにR2-D2かよっ」というアクションを披露してくれる。ただの筒型ドロイドのクセに、表情も豊かだ。
 ヨーダも宙を舞う。剣を振るう。見得まで切る。チュー・バッカの腕によじのぼる姿は、なんともラブリー。
 剣戟シーンの洗練度はシリーズ中随一。オビ=ワン、アナキン、ドゥークー伯爵、ダース・シディアス、ヨーダ、マスター・ウィンドゥ、グリーパス将軍、そのボディガードのマグナガードと量的にも豊富なことに加え、それぞれのライトセーバーから繰り出されるスピード感、破壊力、重量感も大きく向上し、質的にも上々の“チャンバラ”が出来上がっている。

 そして、本作の最大の見せ場が、冒頭、共和国vs分離主義者の艦隊戦。1隻ずつ破壊される大型艦の間をすり抜けるように飛ぶ、オビ=ワンとアナキンのスターファイター、その迫力に身震いを抑えられない。
 思い出したのはTDLの『スター・ツアーズ』やTDSの『ストームライダー』。スターファイターに随行して自分も宇宙を滑空している気分だ。こちとらナムコ・ナンジャタウンの『ファイヤーブル』でエースパイロットのステッカーをもらい、筑波では国際宇宙ステーション日本実験棟『きぼう』を取材させてもらった(熱構造モデルの内部に入った)男だ。「いま、宇宙に身を置いている」という実感を味わえるこの瞬間は、至福のひとこと。もしこれが2時間続くなら死んでもいいと思ったほどだ。
 ま、それは大袈裟だが、スゴイを通り越してヤバイ領域に入ったCGであることは確か。大作ではよく「大スクリーン向け」といわれるが、その言葉の意味をここまで痛感させてくれる映画も珍しいだろう。
 このシーンをはじめとして、艦橋での剣戟、ウータパウやキャッシークでの戦闘、ヨーダvsダース・シディアス、炎の星ムスタファーでのオビ=ワンとアナキンの対決など、特にアクションがメインとなる場面では全体に臨場感が重視されていることを強く感じる。『エピソードII』の感想で「単に戦闘や人の動きを“映す”のではなく、大きな空間を作り上げ、その中にカメラを持ち込んで対象物を“捉える”ような絵作り」と述べたが、その手法をさらにパワーアップさせ「実際にその場にいるように感じさせる絵作り」へと進化しているのだ。
 いま自分はSW世界に身を置いているという錯覚。それを体感できるだけでも、この映画は価値がある。

 もちろん、何よりも注目すべきはアナキンの苦悩だろう。「シリーズ中もっともダーク」と評される『エピソードIII』だが、ダース・ベイダーの誕生を描くことが目的の本作では、反ジェダイの意識の芽生え、ダークサイドの誘惑、パドメへの思いなど、アナキンの内面がクローズアップされて然るべき。正直これまで、物語の大きな流れにスホットを当てすぎて、人間および人間関係を深く掘り下げてこなかったことがSWサーガの弱点だった。その不満をかなり払拭したわけだから、ダーク万歳である。
 前作では少々頼りなかったヘイデン・クリステンセンが、驚くべき変貌を遂げたことは嬉しい驚き。ダークサイドに堕ちた表情、炎の中での苦悶が、実に絵になる。すっかりオンナから母親の顔となったパドメとも好対照をなしていて、あらためてキャスティングの適切さを思い知らされた。

 アナキンの迷いにあわせて、われわれ観客自身が「ジェダイの不完全さ」を実感できることも、この作品の大きなポイントだ。イヤミをいったり酒を飲んだり、前2作で意外なほど人間くさい部分を見せたジェダイだが、本作でも、怒りや疑いの心を秘めるマスター・ウィンドゥを象徴として、決して聖人君子ではないジェダイの姿が印象づけられる。
 ジェダイもまた人なり。ちょっとしたきっかけでダークサイドへ堕ちる。ジェダイを縛りつける厳しい掟は、そうした弱さを精一杯押さえ込もうとするための戒めであり、願いの現われでもあるのだろう。

 これにより、新3部作=「ジェダイの限界を描いた物語」であることがハッキリとした。アナキンはジェダイの教えによって強大な力を得たが、そのいっぽうで、ジェダイの掟によって愛や信ずる心を奪われ、ダークサイドへと堕ちていったわけだ。
 そんな従来のジェダイの限界を、掟によって禁じられていたはずの愛=父と子/兄妹/師弟の間に交わされる愛をもって打ち破る物語、ジェダイに新しい時代と可能性をもたらすストーリーが旧3部作である。
 さらに『エピソードI』から『エピソードVI』を通しで見た際、このSWサーガが「スター・ウォーズ」=星間戦争を描いた叙事詩であるばかりでなく「スカイウォーカー」一族の盛衰と活躍を語る英雄譚でもあることにも気づかされる
 となれば当然『エピソードVII』以降は、ルークが新しい教義のもとにジェダイを育てて帝国の残党と対決、これを駆逐し、「愛こそが最大のフォース」といった価値観を確立させるストーリーとなることだろう。いや、そうでなくてはいけない。中心となるのはもちろんルークやレイアの息子・娘たちだ。ルークの苦悩、ハン・ソロと娘の子供っぽい対立など、いくらでも面白いお話が沸き上がってくるじゃないか。

 ここまでの『スター・ウォーズ』6作品、それぞれ出来不出来はあり、1本ずつで観ると都合のいい展開や人間描写の浅さなどで点数は伸び悩むが、トータルで採点すれば30点満点中19点といったところか。壮大な世界を作り出した功績、ダース・ベイダーとC-3PO&R2-D2という対照的でありながらいずれも映画史に残るキャラクターを1つの物語に共存させた点など、評価すべきところは多い。
 スピン・オフだとか、小説で発表とか、小賢しいことをいわず、ルーカスは正々堂々と当初の予定通り9部作を映画として完結させるべきだ。
 そして、新3部作で魅せてくれた鮮やかなヴィジュアル・イメージや「設定とストーリーと演出との密接な関連性により、リアリティあふれるウソを作る手法」をもって、トータル20点以上に引き上げてもらいたい。
 そこへ到達して初めて、旧3部作はクラシックとなり、新3部作は伝説となり、サーガは完結し、この『スター・ウォーズ』シリーズは真に人類の財産となりうるのではないだろうか。

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