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2005/07/12

スター・ウォーズ エピソードV 帝国の逆襲

★10000HIT御礼企画 SWサーガ一気SP その2★

監督:アーヴィン・カーシュナー
出演:マーク・ハミル/ハリソン・フォード/キャリー・フィッシャー/アンソニー・ダニエルズ/ケニー・ベイカー/ピーター・メイヒュー/フランク・オズ/アレック・ギネス/ジェームズ・アール・ジョーンズ/ビリー・ディー・ウィリアムズ
30点満点中16点=監4/話2/出3/芸4/技3

【帝国vs同盟軍の新たな戦いが幕を開ける】
 辺境にある氷の惑星ホスに基地を構えた反乱同盟軍。だが、ここにも帝国の魔手が迫る。レイア姫はハン・ソロ、チュー・バッカ、C-3POとともにミレニアム・ファルコンで脱出、小惑星帯へと身を隠すものの、ダース・ベイダーの執拗な追撃から逃げ切ることは難しかった。いっぽうルークはオビ=ワンの声に導かれ、R2-D2とともに惑星ダゴバへ到着。ジェダイの生き残り、マスター・ヨーダの元でジェダイとしての訓練を始める。
(1980年 アメリカ)

【見どころはあるが、続編・つなぎとしての限界もある】
 監督として迎えられたカーシュナーは、新たな息吹をSW世界に吹き込むことに成功した。ホスでの戦闘シーンに感じられる火薬と血の匂いは戦争映画のそれだし、森の中に住む妖精のようなジェダイ・マスター(ヨーダ)や「高い塔の姫君」を想起させる場面など、ファンタジー色も盛り込まれている。西部劇+時代劇+戦争映画+ファンタジー=スペースオペラ。なんとも贅沢な世界構築である。
 画面の中の人の収めかたも、より立体的になった。前作でも「左手前から右奥に対しての攻撃」といった“角度感”ある構図が頻出していたが、本作では「手前にいる人の向こう側」や「手前対奥」といったアングルも増え、シリーズ全体を通じて感じられる画面の立体感は、このエピソードVで完成したといえるかも知れない。

 ストーリーはどうか? ハッキリいって無理やりだ。前作以上に。そして「続編・つなぎ」の匂いが濃すぎるものにもなっている。

 たとえばⅩファイター級の戦闘機に、1Gの重力圏脱出+恒星間飛行+大気圏突入を実現するだけの能力を持たせることは可能なのだろうか? まぁ仮に「それだけの技術がある時代」と納得する(新3部作でもそういう設定だし)にしても、ルークは二度も墜落しながら、そのいずれも無傷、戦闘機も大破しないというのはどうか。
 ほかにも「そこに呼吸できるだけの空気があるのって、どうよ?」「ホントに凍結+カーボンコーティングされて生きていられるの? しかも顔を近づけただけで生きてるってわかるの?」など、ツッコミどころのオンパレードだ。いくら“いま繰り広げられている出来事”の面白さを追求した映画だとしても、程度があるだろう。
 もっとも、そもそもSWサーガには「同盟軍の主要人物には敵の熱線が当たらない」という約束事(?)があり、このあたりのリアリティは追求すべきではないのかも知れないが、6作中で本作がもっとも「都合よすぎ」と感じさせるのは確かである。

 また、ジェダイとしての修行を開始するルーク、ハン・ソロとレイア姫のロマンス、帝国に対抗するための“もうひとりの存在”の示唆、ハン・ソロの危機、そしてかの有名なダース・ベイダーのセリフと、インパクトの大きいポイントがテンコモリ。6部作の中でもかなり重要な意味を持つ作品であるといえる。だが皮肉にも、その重要性がストーリーを無理やりなものにさせているようにも感じるのだ。
 ルーカスは「スターウォーズはサイレント・ムービーである」といっているのだという。確かに前作は、早送りあるいは字幕抜きの観賞でもストーリーを理解できるシンプルな内容。その単純明快なストーリーをどう面白く見せるかが“キモ”となっていた。
 本作でも“見せて楽しませる”場面は多く、ストーリーそのものはシンプルなのだが、前作で説明し残したことを説明しなければならず、第3作に向けて提示しなければならない事柄も多くて、重要なファクターは盛りだくさん。そうした重要なポイントの説明・提示をセリフに頼ってしまい、“見せて楽しませる”部分とアンバランスな空気が作られてしまったことこそ、本作の欠点であるように思う。
 その欠点が、本作を「続編・つなぎ」に貶めているのではないだろうか。

 特撮やCGも、やりたいことばかりが先走って前作よりも不自然さが増した感がある。いや全体として観ればハイ・クォリティなのだが、冒頭の氷の惑星ではハリーハウゼン風のダイナメーションで古さを感じさせ、ブルーバックっぽさが漂う場面もあるし、戦闘機のスピード感にも乏しい。それが最後まで尾を引くというか、「ん~、どうもパっとしないなぁ」と思わせ続けるのだ。

 さらに(制作された時点では)全9話の中の1話という位置づけがハッキリしており、旧3部作の中に限っても3分の1。そうした制約ゆえ、たとえ監督が交替しても前作から大きくテイストを変えるわけにもいかず、カーシュナーは作家性(あるのかどうか知らないが)を抑え、職人/コーディネーターであることを求められたことだろう。最初に述べた通りいくつかの新要素は入れたものの、ハナっから「続編・つなぎ」であることを前提とし、ルーカスが示した道筋を一歩たりとも踏み外さない、そんな没個性のディレクションとなっているのだ。
 旧3部作ではもっとも人気が低いようだが、そのことに納得のできる仕上がりである。

 シリーズでありながらテイストをガラリと変え、それでも成功した『エイリアン』や『ハリポタ』は偉大だなぁ。そんなことを思わせる作品だったりする。

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