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2005/07/09

SAW

監督:ジェームズ・ワン
出演:ケイリー・エルウィズ/リー・ワネル/ダニー・グローヴァー/モニカ・ポッター/マイケル・エマーソン
30点満点中18点=監4/話4/出3/芸3/技4

【仕掛けられた理不尽な罠。誰が、何のために?】
 朽ちかけたバスルームで目を覚ますゴードン医師とアダム。それぞれ頑丈な鎖でパイプにつながれ、逃げ出すことができず、そしてふたりの間には死体が横たわる。ポケットにあったカセットテープを再生すると、聴こえてきたのは不気味な声。「アダムが死ねば、ゴードンは助かる」。ゴードンは、かつて自身が容疑者とされた猟奇殺人事件の真犯人が、こんな状況を仕組んだのだと推理、アダムと協力してなんとか脱出しようとするのだが……。
(2004年 アメリカ)

【上手にまとめた、低予算サスペンスの佳作】
 人間の中にはサディスティックな要素とマゾヒスティックな要素が混然としているのだという。どんなバランスで体内に溶け合い、何をきっかけにどちらが表出するかは人それぞれ。わが身を振り返れば「なるほどなぁ。さしずめオレはマゾ6:サド4くらいか」などと思ったりする(根拠なし)。
 で、本作。理不尽状況下に置かれる主人公という設定は、まさしくマゾ部分をくすぐるもの。加えてミステリー映画でもあり、謎解き=克服欲・征服欲としてのサド部分にも訴えかけてくる

 まず、雰囲気の作りかたが上手い
 薄汚れたバスルームはタイルの冷たさが感じられるようハイキー気味に映され、過去の犯行現場や犯人のアジトは逆に暗くアンダーにして、それぞれが怪しげ。このコントラストが、低予算の安っぽさを前面に出さない効果も担っている。細かなカット割り、大仰に(コケオドシ的に)使われる音響効果も、ベタではあるが映画の雰囲気に合致しているといえるだろう。意味ありげな動作やカットに、やっぱり意味があったとわからせる構成にもなっていて、誠実に撮っているなぁとも思わせる。
 サスペンス&ミステリー映画として低予算でできること=限られた状況下+限られた登場人物で鮮やかに観客を驚かせること、そのためのストーリーを、予算の少なさをそれほど意識させないよう丁寧かつ上手な作りでまとめたという印象だ。

 ま、よく考えたらゴードンの妻や娘が死の危険にさらされるいわれはないだろうとか、その真犯人の現れかたはちょっと無理があるだろうとか、いくつかツッコミどころも散見できるし、事件を描くのでも状況を描くのでもなく、単に観客を「あっ」といわせるためだけの設定・構成・展開の映画ではあるのだが、ストーリーがあっちへ行きこっちへ行き、次々と新しい謎や事実が提示され、ミスディレクションの仕掛けもあって、約1時間45分をまったく飽きさせずに見せてくれる。
 本作と同様のスピリットを持つ『CUBE』(ヴィンチェンゾ・ナタリ監督)と比べると、奥の深さや衝撃度の点では劣るが、あちらが寓話として仕上げたのに対し、こちらはあくまでもミステリーとして貫徹したのも評価したい点だ。

 演技陣では、原案・脚本も兼ねるアダム役のリー・ワネルが、いかにもこうした状況下に置かれた若者の姿、というイメージを醸し出している。おいおいこんなとこに出ているのかと思わせるダニー・グローヴァーより、この人は確か『ザ・プラクティス』でリンジーにつきまとってた殺人犯だよなのゼップ役マイケル・エマーソンが、今回も事件のカギを握る重要人物として登場して、なんだか嬉しい。

 ミニシアター系/サイコ・サスペンス/ダマシ/ドンデンガエシ/理不尽状況といったキーワードに下半身がムズムズしてしまう人であれば、かなり高い確率で楽しむことができる作品だろう。『SAW』というタイトルに、ノコギリとSEE(視る)の過去形のダブルミーニングを読み取ったりして知的好奇心というか裏読みの心もくすぐられるしね。

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不潔なバスルームで目覚めさせられた2人の男。 足は鎖につながり、無残な死体が部屋 [続きを読む]

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