スター・ウォーズ エピソードVI ジェダイの帰還
★10000HIT御礼企画 SWサーガ一気SP その3★
監督:リチャード・マーカンド
出演:マーク・ハミル/ハリソン・フォード/キャリー・フィッシャー/アンソニー・ダニエルズ/ケニー・ベイカー/ピーター・メイヒュー/フランク・オズ/アレック・ギネス/ジェームズ・アール・ジョーンズ/ビリー・ディー・ウィリアムズ/デヴィッド・プラウズ/イアン・マクディアミド
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4
【いよいよ最終決戦! そして新たな時代が訪れる】
ジャバ・ザ・ハットの手からハン・ソロを奪還したルークは、惑星ダゴバへと戻る。そこでマスター・ヨーダから聞かされたのは、自分の出生の秘密と、ダース・ベイダーと戦わねばならないという運命だった。いっぽう反乱軍は再建中のデス・スターを破壊するため、緑の月エンドアで原住民イウォークをも巻き込んだ防御シールド爆破作戦を決行、宇宙では艦隊戦が繰り広げられる。そしてルークは、ある決意とともに敵のもとへ飛び込んでいく。
(1983年 アメリカ)
【間違いない。これは『第6話』だ】
前半の見せ場である砂漠での処刑シーンは、スリリングかつアクションのバラエティにも富み迫力たっぷり。西部劇+時代劇+戦争映画+ファンタジー=スペースオペラというSWの構図に、海賊映画の要素まで加えてみせたのだから驚きだ。
が、そこへ至るまでの、ジャバ・ザ・ハットの宮殿における約30分は、ちんたらちんたら、たいしたことは何も起こらず、なんとも冗漫だ。怒涛の展開でスピーディにストーリー/シーンを進めていくこのシリーズには珍しく、序盤の“かったるさ”が大きな傷となっている。
そのぶん、後半は全体的に駆け足にならざるを得ず、レイアの中に潜むジェダイの資質、ルークとアナキンの葛藤、皇帝の恐ろしさといった、欠くべからざる要素を十分に描くことができなかった。ある重要人物の死も、あまりに唐突に訪れる。
前作ほどの“無理やり”感はないが、ペース配分を間違えて舌足らずになってしまった、という感じか。
ただしクライマックスへ向けての、エンドアにおける展開に限れば、実に秀逸。シリーズ中でも屈指の仕上がりを見せるアクションシーンの連続だ。
まずは森の木々の間を高速で飛び抜けて行くスピーダー・バイク。いくぶん合成くささは残るものの、その疾走感は『エピソードI』におけるポッド・レース以上だろう。反乱軍と森の民イウォークとの交流もユーモラスで、ここでコメディ・メーカーとしてのC-3POのキャラクターは完成を見ることになる。
宇宙空間での艦隊戦・戦闘機バトルも、好みである「何がなんだかわかんねーけど、とにかく速くてすげー」的描写で、スピード感は抜群。直撃を受けてゆっくりと傾いていくスター・デストロイヤーの重量感もいい。
そして、反乱軍+イウォークvs帝国軍の地上戦が、本作の白眉。セリフらしいセリフはほとんどない。なにしろ中心はイウォークとチューイ。キャーキャー、うぐぉぉうと叫ぶだけである。つまりわずらわしい説明抜きに、ガツンガツンと戦闘が繰り広げられていくことになる。しかも、森の中であること、イウォークたちのすばしっこさとチュー・バッカの怪力、ソロとレイアの信頼関係、R2-D2とC-3POのタッグなど状況・設定を上手く生かしてある。
思えば、細かな説明抜きで見せる迫力いっぱいの戦闘シーンこそが過去2作における大きな見どころだった。“見せて楽しませる”ことが本シリーズの基本的スタンスなんである。その集大成が、このエンドア。まさに「観ているだけで面白い、敵味方入り混じっての大バトル」だ。西部劇や日本の時代劇から上手にエッセンスを抽出した成果であるとも感じられる。
と、盛り上がったところで、尻すぼみとなる。ストーリー的には、一応は大団円となるものの、ややアッサリとしたエンディング。ルークにはもっともっと悩んで欲しかったし、ダース・ベイダーにももっともっと葛藤して欲しかったし、皇帝にはもっともっと抵抗して欲しかった。
おかげで、これが“終幕”とはとても思えないのだ。「ああ、やっぱりこれって『第6話』なんだよなぁ」という印象を禁じ得ないのである。
冗漫なオープニングは本作のみの瑕疵としても、欲求不満を残すエンディングはSWサーガ全体の価値を決めるもの。
詳しくは『エピソードIII』の感想で述べることにするが、やはり全9作を完成させて欲しい。そして、真のカタルシスを味わわせて欲しい。その思いがもっとも募る『エピソードVI』。まことに“罪な”作品である。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント