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2005/09/28

恋は邪魔者

監督:ペイトン・リード
出演:レニー・ゼルウィガー/ユアン・マクレガー/デヴィッド・ハイド・ピアース/サラ・ポールソン

30点満点中17点=監4/話2/出4/芸4/技3

【恋なんて女には邪魔。その主張にプレイボーイが挑む】
 1962年のNY。バーバラ・ノヴァクが書いた『恋は邪魔者』は「女性も男性と対等に社会進出すべき。そのために恋や愛は邪魔。SEXなんて快感のためだけにすればいい」と主張して世界的ベストセラーとなる。彼女が女性の敵と名指ししたのが、情報誌記者でプレイボーイとして知られるキャッチャー・ブロック。そこでキャッチャーは身分を偽ってバーバラに接近、彼女を自分に惚れさせて、バーバラの信用を失墜させようとする。
(2003年 アメリカ)

【ストーリーには難ありだが、雰囲気はgood】
 ジャズ・アレンジのテーマ曲をバックに切り絵調のアニメーションが展開するオープニングから、レニーとユアンが唄って踊るエンディングまで、一貫して愉しいテンションとテンポで押し通し、シティ・コメディとして上々の仕上がりを見せる。
 映画の舞台となっている60年代前半といえば、オードリー・ヘップバーンやシャーリー・マクレーン、シルヴィ・バルタン、ジュディ・アンドリュースといったスターの活躍期だが、ワイプによるシーン転換、鳴り止むことのないBGM、書き割りの背景、合成で表現される夜遊びといった要素は、それよりも少し前の時代のミュージカル映画を髣髴とさせて愉快だ。

 レッドにブルーにイエローにピンクと、原色をふんだんに使った衣装・セットもにぎやかでイケている。ラウンジ感たっぷりの曲でまとめたサウンドトラックも極上。久々に「CD欲しい」と思わせてくれた。

 いつも通りのキュっとしかめた笑顔がチャーミングで、むくれたり声が裏返ったりするレニーは、相変わらずキュート。正体を隠している際の微妙に訛っている発音など、ユアンもさすがだ。
 この主役ふたりの撮りかたにも感心させられる。50~60年代の映画っぽく“スタァ”として扱う画面なのだ。たとえば、ちょっとアオった画角で捉えて観客から見上げるような雰囲気を出し、映画スタァ=天上の存在への憧れを掻き立てる。あるいは全身をスラリと映し出して、いちいちカッコをつける立ち居振る舞いをしっかりと映し出す。
 画面分割でちょっとエッチ(死語?)な場面を作り出すのもユニークだ。

 と、いいところはヤマのようにあるのだが、声を大にして好きといえないのは、あまりに予定調和なストーリーが原因か。「どうせキャッチャーは本当にバーバラのことが好きになっちゃうんだろ」という骨格から、ひょんなことから正体がバレそうになるといった各エピソードまで、おおかたの予想通りの展開。その予定調和に持ち込むことも本作の狙いなのだろうが、予定調和にこだわるあまり展開が性急かつ強引になってしまっているし、意外性はあまりない。
 意外といえば、オチは意外かも知れない。そのオチを、バーバラの長ゼリフで“説明”してしまうのも、ここまで思い切った演出だと潔さも感じる。けれど唐突なことは確かだし、やっぱり伏線を散らして「ああ、それで」と納得させる正攻法で挑んで欲しかったものだ。
 ニヤリとかクスリはあるけれど、ゲラゲラがなかったのも痛い。特に主役ふたりに絡んで振り回したり振り回されたりするピーターとヴィッキーは、コミックメーカーあるいは狂言まわしとして配されているはずなのに、たいした笑いを提供できなかった。

 ま、そうしたストーリーの細かなところにはツッコミを入れず、全体的な雰囲気とテンポのよさを味わうなら、十二分に楽しめる映画ではある。

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