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2005/09/30

ラスト・キングス

監督:ピーター・オファロン
出演:クリストファー・ウォーケン/ショーン・パトリック・フラナリー/ヘンリー・トーマス/ジェレミー・シスト/ジェイ・モーア/ジョニー・ガレッキ/デニス・リアリー

30点満点中17点=監3/話4/出4/芸3/技3

【誘拐を解決するための誘拐。だが誤算と策謀が、そこにあった】
 4人の若者、マックス、エイブリー、ブレット、TKはマフィアの元首領チャーリーを誘拐する。エイブリーの妹エリースが何者かにさらわれたため、その身代金200万ドルをチャーリーに肩代わりさせるつもりだ。が、隠れ家に4人の友人アイラがやってくるなど計画は杜撰。それでもチャーリーは電話1本で弁護士らを動かし、たちどころにエリース誘拐犯を突き止め、金を用立てる。と同時に彼は、若者たちの中に裏切り者がいることに気づく。
(1997年 アメリカ)

【名作でも佳作でもないが、コンパクトで退屈させない】
 文春文庫の青、あるいは扶桑社の白い背表紙、海外クライム・ノベルの小品を忠実に映画化したような作品。序盤で若者たちがチャーリーの意識を奪う際に起こるカークラッシュ以外に派手さはなく、ストーリーも撮りかたもテレビサイズでマイナーな空気に満ちている。が、雰囲気は悪くない。

 いい点の第一は、まさにそのテレビ的な仕上がり。舞台の大部分は隠れ家の中など室内、しかも夜であり、引きの絵や大仰な仕掛けを入れ込まず、人物を手持ちカメラで追いかけるなどして、いい意味で小さくまとめてある。広がり感を排し、その場に居合わせているかのように思わせる、臨場感を大切にした作りになっているのだ。
 ストーリーもコンパクトにまとめられている。若者たちがチャーリーを誘拐した理由や、彼らの中にエリース誘拐を手引きした者がいるとチャーリーが気づくあたりは、完全に展開をセリフに頼り、気の利いた描写も伏線もないのだが、それが逆にポンポンとお話が進むスピード感を生んでいる。
 隠れ家の中でのチャーリー&若者たちのやりとりと、チャーリーの指示で夜の街を駆け回る弁護士や部下たちの姿、この2つを適時切り替えて描く構成もテンポのよさに貢献している。誰が内通者なのかと考えさせる謎解きの要素もあるし、チャーリーの部下ロノの働きぶりも見事で、最後まで飽きさせない

 キャラクター設定および役者たちも、なかなか。クリストファー・ウォーケンは、やはりこういうダークな役柄がハマる。イスに縛られていてほとんど表情と指先だけの芝居なのだが、存在感はタップリ。しかめっ面で大爆笑の演技を見せた『マウス・ハント』(ゴア・ヴァービンスキー監督)と同年の出演というところに、懐の深さを感じさせる。
 しきりに靴を気にしながらも適確に誘拐犯たちに迫るロノを、軽快かつ無骨に演じたデニス・リアリーも拾い物だし、ヘンリー・トーマス(まったく気づかなかったよ、エリオット)ら若者4人も、裕福な家庭で育った若者らしく、それでいてそれぞれ性格はハッキリと異なっていて、ストーリーを上手く運んでいく。

 悪い点は、コンパクトにしてあるぶんそれ以上には弾けず、奥行きも幅の広さも感じられないところか。決して「思い出に残る1本」にはなり得ない作品だ。それでも退屈はしなかったのだから、悪い映画ではない。

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