25年目のキス
監督:ラジャ・ゴズネル
出演:ドリュー・バリモア/デヴィッド・アークエット/マイケル・ヴァルタン/ジョン・C・ライリー/モリー・シャノン/ゲイリー・マーシャル/リーリー・ソビエスキー/ジェレミー・ジョーダン/ジェシカ・アルバ
30点満点中16点=監4/話2/出4/芸3/技3
【25歳の新聞記者が高校へ潜入取材、その顛末は】
シカゴ・サンタイムズ紙の編集者ジョジーは、高校に潜入して高校生たちの生態をリポートすることを命じられる。イジメられたりフラれたりと悲惨な思い出ばかりの高校だけれど、記者としての大チャンスに張り切るジョジー。でも、ライバル紙に先を越されたり、やっぱりからかわれたりと、なかなか上手く事は運ばない。見かねた弟ロブの助けもあって人気者グループに近づくことはできたが、英語教師コールソンに恋をしてしまい……。
(1999年 アメリカ)
【肉付きと肌合いはいいが、骨格に不満】
少しふっくらした顔立ちとボディの中に、チャーミングな空気と鬱屈したインテリジェンスとを感じさせて、ドリュー・バリモアが、どこへ行ってもちょっと浮いてしまうジョジーという役柄を好演している。
また、この手のストーリーでは主役の兄弟が助け船を出すのがセオリー。たとえば『スプラッシュ』(ロン・ハワード監督)でトム・ハンクスの兄を演じたジョン・キャンディとか『ニューヨークの恋人』(ジェームズ・マンゴールド監督)でのメグ・ライアンの弟役ブレッキン・メイヤーとか。本作でもデヴィッド・アークエットが演ずる弟のロブが、優しさと身勝手さと夢と諦めとを快活に融合させて、物語をキュっと引き締める。
そのほか、ジョジーの同僚、恋の相手、学園のヒーロー、ジョジーをいじめる女生徒や数学オタクの少女(リーリー・ソビエスキーは、もうちょっとメジャーになってもいい美形)、怒鳴り散らす上司にワンマン社長と、適確に配されたキャラクターと、それらにベストマッチするキャスティングは、この映画の大きな魅力。特殊なシチュエーションにおけるラブ・コメディを無理なく見せる温かな肌合いを作り出すのに貢献している。
語り口も爽やかだ。ドジなジョジーにはハプニングがクドくならない程度に起こり、コールスローサラダ、シェークスピア、ジョジーの学生時代のプロムの思い出、コウテイペンギンなど、いちど画面に登場した題材が後のシーンにも生かされていて、構成の上手さを感じさせる。ジョジーと互いに惹かれあう展開に説得力を持たせるべく、コールソン先生の授業はわかりやすくて面白いものに仕上がっていた。
ややソフトで、スクリーンにキレイに人物たちが収まる撮影も心地いいし、シンディ・ローパー、マドンナ、カーディガンズにビーチ・ボーイズと“スクール・ロック”ともいうべき曲でまとめられたサウンドトラックも楽しい。
と、個別のパート、作品の表情や肉付きはいいのだが、骨格や関節部分には疑問も残る。
骨格=何をやろうとしたかが曖昧だ。人生はやり直せない、本当の恋の見つけかた、高校生活の大切さ……など、複数のテーマを語るのはいいとしても、それぞれがスマートに絡み合わず、展開が性急になったり都合が良すぎたり、いいたいことが散漫になってしまった感がある。
シーンのつなぎかたに「上手いなぁ」と思わせるところも多く、テンポは実にいいのだけれど、関節=カット間のつながりの不自然さ(笑っているカットが別アングルに切り替わると笑っていなかったりとか)という瑣末なところは気にかかる。
けっこう面白くて可愛らしい映画だけれど、詰めの甘さとクライマックスへ向けてのまとまりの悪さがあるよね、という作品だ。
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