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2005/11/01

ローマの休日

監督:ウィリアム・ワイラー
出演:オードリー・ヘプバーン/グレゴリー・ペック/エディ・アルバート/パオロ・カルソーニ/ハートリー・パワー

30点満点中22点=監5/話5/出5/芸4/技3

【王女と記者の、ローマでの1日】
 ヨーロッパ歴訪中の某国王女アン。分刻みの公務に追われて自由な時間はゼロ、ローマではとうとう不満を爆発させる。こっそり大使館を抜け出してしまうアンだったが、睡眠薬で意識は朦朧。彼女を拾ったアメリカ人記者のジョー・ブラッドレーは、このお転婆娘が王女だと知り、カメラマンのアーヴィングを呼び寄せる。そして、身分を伏せて彼女と行動をともにし、王女の知られざる素顔を記事にしようとするのだが……。
(1953年 アメリカ)

【映画の神様が微笑みかける】
「いゃぁ面白かった。以上」
「たったそれだけですか?」
「このレベルの映画をあーだこーだ語るのはおこがましいよ」

「そこを無理にでも」

「まずは冒頭のパーティから、もうやってくれるよね」
「笑えますよねぇ」
「王女の表情、足元、延々と続く来賓たちといった、なんてことはないカットだけで、ほとんどセリフらしいセリフなしで、王女の置かれている立場や彼女のキャラクターを描写してみせる」
「お付きの人たちが目と目で会話する様子もユーモラスです」
「その後の寝室のシーンでもさ、彼女が問題児であると同時に愛されていることがわかる」

「で、大使館を抜け出してブラッドレーと偶然に出逢い、ローマを楽しく巡るわけですが」
「彼女が楽しんでいる様子はもちろん、『祈りの壁』では王女としてのノーブルさを感じさせる。モノクロなのに、ローマの明るさや雄大さが伝わってくるのも素晴らしい」
「美容師さんとか花屋のおじさんとか、いい人ばかりなんですけれど、その配置にも無理がなくてほのぼのしちゃうんですよね」
「あと、程度が低い脚本・演出だとさ、『私、スクーターに乗ってみたい』とかわざわざいわせちゃうんだ。そういう愚が、まったくない。スクーターに二人乗りするカップルを羨ましそうに見ているだけで十分なんだ。パジャマを差し出されるだけでハッピーなんだ」
「ブラッドレーやアーヴィングが、彼女が王女だと気づくタイミング、その後の行動のユニークさも絶妙です」
「かの有名な『真実の口』のシーンにもしびれたなぁ」
「あれ、グレゴリー・ペックの行動はオードリー・ヘプバーンには内緒だったというのは有名な話ですよね」
「あのオードリーのリアクションはさ、映画の神様がそこに降りて来たとしか思えない。『神様ありがとう!』って泣いちゃったもん」
「この場面を抜きにしても、オードリーは最高ですよね」
「オードリーのことを語るのって、それこそおこがましいんだけれど、最初っから最後まで王女にしか見えないってのは凄いよなぁ」
「アカデミー賞の主演女優賞に輝きました。あと本作は衣装デザイン賞も獲得していますね」
「ふだん衣装になんかあまり目が行かないんだけれど、これはいいよ。アン王女は王女のときも身分を隠しているときも、シンプルだけれどキリっとしていて清楚なんだよな」

「船上のダンスパーティがクライマックス」
「上手いのはさ、王女がギターを振り上げて悪者(いや実際には悪者じゃないんだけれど)を叩きのめすところ」
「最初、カメラを構えるのが間に合わなくて、アーヴィングは撮れないんですよね。それで『もう1回!』といわれて」
「それが聴こえたのか聴こえなかったのか、とにかくもう1回やっちゃうんだ。あー、よせばいいのにーと思いつつも、そういう愛らしさに観ている側はどんどん惹きつけられていく。とどめにショートカットが水に濡れるわけじゃん。そりゃあ惚れちゃうよ」

「そして、ラストシーン」
「グレゴリー・ペック、オードリー・ヘプバーン、エディ・アルバート。みんな表情の演技が素晴らしい。もうそれだけで泣けてきちゃう」
「ラストカットも、いいんですよねぇ」
「これ以外にはないもんね。映画の中の愛ってさ、絶対に“切なさ”がなきゃダメなんだ。そういう意味でこれは、観客にとってのハッピーエンドだと思うな」

「全体に、字幕抜きで理解できるお話ですよね」
「せいぜい『王女が行方不明であることを隠すため、大使館の人たちは王女が病気と偽った』ということぐらいだろ、字幕がないとわからないのって。見せてわからせる、見せて楽しませる。これぞ“映画”だよ。たとえば『ブラッドレーがアン王女を連れてアパートに入る』というだけのシーンをさ、こんなにチャーミングに撮っちゃうんだもん」
「奇を衒ったことは一切していないんですけれどね」
「そうなんだ。すごく真っ当。この作品が誕生してから50年以上経つわけだけれど、ここまでストレートな“愛”を描いたストレートな“映画”にはなかなかお目にかかれない。それは不思議ではあるけれど、この作品がいかに偉大かってことだよな」

「なんだかんだいって、けっこう語りましたね」

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