ヴァン・ヘルシング
監督:スティーヴン・ソマーズ
出演:ヒュー・ジャックマン/ケイト・ベッキンセール/リチャード・ロクスバーグ/デヴィッド・ウェンハム/シュラー・ヘンズリー/ウィル・ケンプ
30点満点中16点=監4/話2/出3/芸3/技4
【ヴァンパイアの野望を阻止すべく、立ちはだかるハンター】
バチカンの命を受けてモンスターを狩るヴァン・ヘルシングは、武器開発を得意とする若き僧カールとともにトランシルヴァニアへと赴く。そこではドラキュラ伯爵が、フランケンシュタインのモンスターやヴァンパイアの花嫁、ウルフマンらを使ってある計画を進めていた。ヴァン・ヘルシングは、何世代にもわたってドラキュラ伯爵と苦闘を続けるヴァレリアス一族の末裔アナと出会い、彼女とともに伯爵の野望を阻止しようとする。
(2004年 アメリカ)
【バカvsバカの対決、その行方は?】
ここまでバカのそろった映画も珍しい。
王女アナはまったく動きにキレがない。お嬢さん走り(ケイト・ベッキンセールにアクションは無理!?)で強敵に突っ込んでいく。
武器開発の専門家カールを演じるのは『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(ピーター・ジャクソン監督)でファラミア役のデヴィッド・ウェンハム。その変身ぶりは見事だが、自作新兵器の使いかたがわからず、やっぱりバカである。
フランケンシュタインの怪物はもともとおつむが弱いので、まぁ怪力まかせに暴れても仕方ないのだが、敵役ドラキュラ伯爵には計画性があるとはいえず、空飛ぶヴァンパイア花嫁たちもまんまと罠に引っ掛かり、ウルフマンは「ぐぅわお」と叫んで飛びかかるだけ。村人たちなんか、吸血鬼が跋扈する地から逃げようともせず、それどころか「なんか音がする」というだけで夜中に家から出てきたりする。
バチカンには「通常有効とされる吸血鬼対策が、このドラキュラ伯爵には通用しない」という基本的な情報が欠如。
もちろん主人公ヴァン・ヘルシングも然り。ヒュー・ジャックマンの立ち姿はそれなりにカッコイイのだが、記憶がないことをさほど気にせず、これまた敵の根城に深い考えもなく突っ込んでいく。攻撃はほとんど当たらないし、得体の知れないものに平気で手を突っ込むし。
これでもかとばかりの、バカ・オンパレード。
しかも内容が薄い。ドラキュラ伯爵の謎の計画、ヴァレリアス一族の掟、秘密の図版などいろいろ詰め込んであるように思えて、そうした設定の説明や謎解き部分はすべてセリフに頼り、結局はバカとバカとの殴り合いに終始する2時間強。
おまけに、これだけ多彩なキャラクターを配しながらそれぞれの持ち味がほとんど生かされていない。ドラキュラを出すなら、女性の血をちゅっぱちゅっぱするシーンをふつー作るだろう。ウルフマンにしても、しょっちゅう満月になって緊迫感ゼロ。フランケンズ・モンスターにも、本来あるはずの人工生命体としての哀しみがまとわりつかない。とりあえず、みんな暴れるだけ暴れる。別にこいつらでなくっていいじゃん。そんな扱い。
ま、そもそも「モンスターをぶわぁ~っと出しましょう、ぶわぁ~っと」というノリで作られた映画なので、ストーリー的・キャラクター的な深みを求めても仕方ないというもの。新兵器vs怪力、地vs空、びゅんびゅん飛んでビシバシぶつかる、バリエーション豊富な戦闘を、モーフィングをはじめとする鮮やかなCG、ビシっと決まる絵作りとともに味わう作品である。
登場人物もバカならストーリーもバカ、作っているほうもバカ、観ているこっちもバカ。バカに徹して楽しもう。そんな映画。
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