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2005/12/08

ヘルボーイ

監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:ロン・パールマン/セルマ・ブレア/ジョン・ハート/ルパート・エヴァンス/カレル・ローデン/ダグ・ジョーンズ/ジェフリー・タンバー

30点満点中18点=監4/話3/出3/芸4/技4

【悪魔の子vs悪魔の使徒! 激闘が始まる】
 1944年。ロシアの怪僧ラスプーチンを使って冥界の門を開こうとするナチスの企みを米軍は阻止、その際に門から迷い出た赤い子どもはヘルボーイと名付けられ、ブルーム教授によって育てられる。60年後、巨躯に成長したヘルボーイはその身体能力を生かし、半魚人エイヴらとともにFBIの秘密部隊・超常現象調査防衛局で魔物退治を続ける。復活したラスプーチンはふたたび冥界の門を開こうと、ヘルボーイが愛するリズに近づくのだった。
(2004年 アメリカ)

【期待せずに観ると意外に楽しめる作品】
「ウワサ通り『意外とよく出来た映画』でしたね」
「正直、客を呼べるスタッフでもキャストでもなくてB級臭がプンプンなんだけれど、気合の入った作り、丁寧な仕事だよな」

「まずオープニング、ナチスの企みで惹き付けます」
「20年前の映画ならクライマックス、10年前なら中盤の見せ場に持って来るシーンを冒頭に配している。どんどんエスカレートする観客の『もっともっとすげー場面をたくさん観たい』という欲求に応える正しい作りだね」
「アクション以外の場面にも、なんとなくパワーを感じたのですが」

「ナイフの使い手クロエネンをカーテン越しに映したり、カメラを物陰から回り込ませるようにして撮ったり、1カットずつに『ただのつなぎカットにしないぞ』っていう気概があったね」

「一気に60年後にジャンプするなど、全体に話の飛ばしかたが上手くて、軽快に進むことにも感心させられました」
「その割に、描くことはちゃんと描いてるんだよな。ヘルボーイの存在を隠そうとFBI上層部がマスコミに対応したり、ヘルボーイの心根の優しさを示すための子猫を助けるシーン、ヌっと現れる敵、いちど死んだと思ったら生き返る敵……」
「笑える要素も適度に盛り込まれていますね」

「見た目は悪魔のヘルボーイが人間に攻撃されたり、子どもに恋愛相談したりね。つまり『世界平和のために働く、純情な悪魔の子』という設定から当然導き出せるシーン・要素とか、アクション映画としての面白さを増加させるセオリー通りの場面・展開が、きっちりと入れられているんだよ」

「もとはコミックだからか、コミック的、アニメ的な雰囲気もあります」
「ヘルボーイの造形、色、コスチューム、照明の当たっていないところに立ってトレーニングしている姿なんか、いかにもアメコミっぽいね。リック・ベイカーの特殊メイクとCGとをつなぎあわせて、スピーディーなアクションも実現している。音楽も『うわぁ』って思わせたい場面でジャーンって大仰に鳴るアニメ的な使いかただよな」
「そういう雰囲気が、いい意味でのバカっぽさを作っているんですよね」

「うん。これは肩肘張って観るもんじゃないってわかる。で、テキトーな気持ちで観たら、割と良く出来てる、という構造だ」

「キャスティングもコミックっぽい雰囲気作りに貢献していますね」
「ロン・パールマンなんか、もうこういう役しかできそうにないみてくれだもんな。ただ、メイクしてあるのに、がさつだけれど純情っていうキャラクターはよく表現していた」
「相手役のセルマ・ブレアも、アニメっぽいというか」

「ちょっと押井守っぽい。眉と目の角度が、微妙にオタクっぽい。それがまたこういう『企画・設定先行型アクション』におけるヒロインとしてピタっとハマってるんだけれどね」

「ただ、あくまでも傑作ではない、という気もします」
「どう見たって災いのもとになりそうなヘルボーイを教授が育てるってのは強引だし、ラスプーチンのキャラクターや目的も描き込み不足。わさわさと魔物が出てくるかと思ったらサミーだけだし。新米捜査官のジョン・マイヤーズは何の取り柄もない。半魚人エイヴの活躍場面は少ない、っていうかだらしない。つまり、けっこういい加減なところも目につくんだよな」
「オープニングから飛ばしたぶん、クライマックスはアッサリしすぎ」
「だから不完全な作品だとは思うよ。でも『こうすれば面白くなりそうだ』『この場面は絶対に必要なんだ』っていう意識・意図がしっかりと込められていて、2時間強を退屈させない映画ではある」
「空白の60年間=若かりし頃のヘルボーイを描く続編とか作られそうで、そういう想像力を喚起させる点も『まあまあ良く出来てるね』って感じさせる所以ですよね」

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