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2005/12/10

スクール・オブ・ロック

監督:リチャード・リンクレイター
出演:ジャック・ブラック/ジョーン・キューザック/マイク・ホワイト/サラ・シルヴァーマン/ミランダ・コスグローヴ/ジョーイ・ゲイドス・Jr/ケヴィン・クラーク/レベッカ・ブラウン/ロバート・ツァイ

30点満点中16点=監3/話2/出4/芸4/技3

【ダメなロッカーと小学生がバンドを結成】
 バンド大会まで数か月。あまりの悪ふざけパフォーマンスゆえに、デューイは自分のバンドからクビを言い渡され、ルームメイトのネッドからは「家賃を払わなければ出て行ってくれ」との通告。デューイはギターを売ることまで考えたものの、ネッドになりすますことに成功、臨時職員としてハイソな小学校に潜り込む。最初は家賃稼ぎが目的だったが、生徒たちが楽器を演奏できることを知り、小学生バンドを組んで大会に臨むことを思い立つ。
(2003年 アメリカ)

【ロックの魂はないが、まずまず楽しめる】
 夭逝のロッカーいわく、「ロックって『音楽のジャンル』じゃなく『生きかた』だと思っていた」。そしてデューイいわく、「ロックに込められているのは『反抗』だ」。
 彼らのいうことが真実かどうかはわからないが、タトゥーを彫ってドラッグに手を出し、それじゃいけないとジョギングで体力作り、ナイトの称号もありがたく頂戴するし、先人の手で紡ぎ上げられたコード進行を踏襲した、つまりは反抗とは無縁のラブ・ソングも作る、それらすべてが“ロック”の現状であることは確かだろう。『アバウト・ア・ボーイ』の項で「ラップ/ヒップホップ系の曲や踊りは、音楽でもダンスでもなくファッション」と書いたが、結局のところロックだって、ファッションでありスタイルであるのかも知れない。

 本作の主人公デューイからして、その生きかたはとてもロックとは呼べないし、反抗の心なんかこれっぽっちも持ち合わせていない。なにしろネッドになりすますのもバンド大会にこだわるのも、カネが目当て。
 それは、まぁいい。不純な動機で小学生バンドを結成し、ところが生徒たちが親や学校への“反抗”の心を示してデューイもロックの心を取り戻す、といったストーリーなら、デューイのキャラクターも生きたはずだ。ところがそれもない。ギタリストのザックが高圧的な親の存在に苦しんでいることは申し訳程度に描かれるが、生徒たちがデューイの授業に面白さを感じる動機や根拠が曖昧だし、ロックなどという低俗なものにのめり込む子どもたちを親たちがアッサリ容認してしまうのも唐突だ。

 つまりアウトライン/フォーマットがいい加減で、テーマ性や奥行きがなく「こういう人物をエリート小学校に送り込んだら面白そう」という思いつきだけで作られた映画、企画先行の作品にとどまっている。
 ま、その思いつきと企画の実体化という点においては、きっちりまとまっているといえる。1シーンに1つくらいの割で細かく笑いを散りばめてあるし、教室の防音、校長の行動の監視、いきなり始まる相対性理論の授業、小学生だからと馬鹿にされるバンドメンバーたち……といった、設定を生かした場面/シーンがちゃんと用意されているのだ。

 また、警備役、照明、スタイリストなど、生徒ひとりひとりのキャラクターや役割を疎かにしなかったことも評価できる(余った3人に与えられた役割は爆笑ものだ)。
 それぞれを演じた子役たちも、特徴ある顔立ちで将来が楽しみなサマー役ミランダ・コスグローヴと、目立たないけれど美形のベーシスト・ケイティ役レベッカ・ブラウンを筆頭に、それぞれきっちりと役柄にハマっている。アクの強いジャック・ブラックに負けないだけのタレントが、ちゃんと用意されたのだなぁと感じさせる。
 彼らが奏でる音楽のほか、多数配されたロックの名曲も楽しい。デューイを迎えに来た生徒たちの姿を二度映すなど全体に見せすぎ・クドすぎの感もあるけれど、クライマックスのバンド大会の様子はライブ感にあふれていて、全体に画面作りと雰囲気作りは上々だろう。

 だから、音楽コメディとしてはまずまずの、肩の凝らない、退屈させない作品ではある。ただし、ロックを扱っているが、ロックな映画ではない。もう一歩「ロックとは何か」に踏み込んだなら、ワンランク上の評価を与えられるのだが。

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Let's ROCK!! 最近、毎日が忙しすぎるから(←じゃぁ映画見なければいいのに。笑)なんだかぼーっと何も考えずに元気になれるような映画が観たくて、「そう言えば、麻生久美子がオススメしてたわ。」なんて思い出して借りてきましたリチャード・リンクレイター監督作品『... [続きを読む]

受信: 2006/01/02 04:25

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