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2005/12/05

フォーチュン・クッキー

監督:マーク・S・ウォーターズ
出演:ジェイミー・リー・カーティス/リンジー・ローハン/マーク・ハーモン/ハロルド・グールド/チャド・マイケル・マーレイ/ライアン・マルガリーニ/スティーヴン・トボロウスキー

30点満点中17点=監3/話3/出4/芸4/技3

【入れ替わったママと娘。挙式とオーディションはどうなる!?】
 セラピストの仕事と子育てで多忙な毎日を送るテスと、学校で問題ばかり起こして反省室の常連になっているアンナは、口げんかの絶えない母娘。見かねた中華料理店のママが、ふたりに与えた“おみくじクッキー”。それを口にした翌日、アンナの心はテスの身体に、テスの心はアンナの身体に入ってしまう。テスは週末にライアンとの結婚を控え、アンナはバンドでオーディションに臨む予定。もとに戻るためには、どうすればいいの!?
(2003年 アメリカ)

【きっちりと作られた、好感度の高い映画】
 親は子どもを“育てさせていただいている”のだ。ジョージ秋山のコミック『浮浪雲』には、そういうセリフがあるらしい。子どもは天からの授かりものという意味か、あるいは「将来は子どもに面倒を見てもらうのだから」というニュアンスが込められているのか、真意はわからないが、親から子への一方的な押し付けを戒める、いい言葉だ。もちろん子どもの側にも“育ててもらっている”という意識は必要。たがいに敬う心があって、はじめて家族は笑顔でいられる。

 テスはどうだろう? 普通の親なら顔をしかめるはずのアンナのファッションやバンド活動を大目に見ている。アンナの身体に入り込んでからも、ちゃんと学校のテストを受けるし、友だちと仲直りできないかと努力する。イジワルな先生をやりこめて、オーディションの舞台にだって立ってくれる。子どもの健やかな成長を願う、比較的理解のある親である。けれど、年の離れたジェイクとは付き合うべきじゃないってのはおせっかいだし、ライアンと再婚することに対する“後ろめたさ”が「理解のある母親」としての行動に影響しているとも思わせる。
 アンナは、まだまだお子ちゃま。テスと入れ替わってからしたことといえば、勝手にカードでお買い物、患者に妙なアドバイスを与え、テレビ局では大騒ぎ。ちっとも「ママのためになること」という意識、育ててもらっているという感謝の気持ちがない。はねっ返りの思春期だ。
 ふたりとも大勢の前でスポットライトを浴びて晴れやかな笑顔を見せるけれど、その意味合いはまったく異なっている。

 で、テスは、窮地に立たされてようやく、本当に幸せな家族を築き上げていくためには“後ろめたさ”が邪魔になると思い至る。アンナも、自分は母親にずいぶんと助けられている存在であり、毛嫌いしていたライアンが(さすがは母親が選んだだけのことはあって)いい人で、自分が、まだ幼い弟にまで気をつかわせているお子ちゃまであることに気づく……。

 入れ替わりの前に伏線(アンナの恋や友だちとの不仲、やっかいなテスの患者など)を散らし、それに対応するドタバタを入れ替わった後にもちゃんと描くのは、設定からして当然のこと。家族のありかたをいろいろと考えさせる要素を盛り込むのも、ただのコメディにとどめないための当然の配慮なのだが、そうした「当然」をきっちりクリアしたシナリオに好感が持てる。
 カメラを大きく動かして入れ替わりを映像的に表現するが、画面は全体にテレビドラマ的。それもまた親しみやすさとして機能する。ガールズ・ロックの王道ともいうべき主題歌も、楽しく画面を彩る。

 主演ふたりも、いい感じ。
 ジェイミー・リー・カーティスの演技はちょっとオーバー気味だが、持ち前の体当たり的アクション+わかりやすくて大きな表情で、いくつもの笑いを生み出す。
 リンジー・ローハンは、日本でももっと人気が出ていい存在だ。キュートで顔立ちに乱れがないけれど、極端に美形でもない。ギスギスしたところがなくて、ややぽっちゃり型だから、男性だけではなく女性にも受け入れられるはず。お芝居もちゃんとできるし歌も上手い。コメディエンヌとして不可欠な要素をすべて満たしているじゃないか。

 テスが“後ろめたさ”は邪魔になると気づくところだけがちょっと弱いようにも思うが、テーマ性もストーリーも、構えたところのない画面作り・演出も、キャスティングも、さまざまな点で好感度の高い作品である。

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●映画の満足度・・・★★★★★★★☆☆☆7.5点 いや、この映画は楽しかったです♪ 年ごろの女の子とその母親って、子どもは反抗期だし、 親も子どもの考えることがなかなか理解できなくて、、 どこもこんな感じじゃないですかね? ... [続きを読む]

受信: 2006/02/09 03:55

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