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2006/04/16

サスペクト・ゼロ

監督:E・エリアス・マーヒッジ
出演:アーロン・エッカート/ベン・キングズレー/キャリー=アン・モス/ハリー・レニックス

30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4

【連続殺人事件の被害者は、連続殺人犯……!?】
 殺人犯を逮捕する際の手続きミスで田舎町のアルバカーキへと左遷されたFBI捜査官トムは、そこで不可解な連続殺人事件に出くわす。死体から剥ぎ取られたまぶた、現場に残された謎のメッセージ。かつての婚約者フランとともに捜査を進めるトムは、被害者がいずれも殺人犯であることと、事件の陰に精神を病んだ男オライアンが存在することを突き止める。どうやらオライアンは、犯罪者の居場所を察知する能力を持つ者であるようだが……。
(2004年 アメリカ)

【驚きやカタルシスはないが、そこそこ楽しませる】
 人間の一生は、持って生まれた才能・形質と、鍛錬・努力・教育によって身につけた後天的な力、周囲の環境、そして、ちょっとばかりの運に左右される。本作は、あまりに特異な才能を持ったゆえに、その才能の“虜囚”となった男=オライアンの行き着く先を描いたストーリーだ。

 シャープな映像で「何が狙いなのよ?」「どうなるのよ?」と惹きつけながら観せるサイコ・サスペンス。ただし『セブン』(デヴィッド・フィンチャー監督)や『テイキング・ライヴス』(D・J・カルーソー監督)の路線ではなく、『ミレニアム』(クリス・カーター製作)のノリだ。いや、深夜枠のドラマとか『ミステリー・ゾーン』の趣か。謎解きよりも雰囲気重視。
 だから真っ当な解決・解答を期待するとバカを見る。が、ハナっから「これは連続殺人犯と同化できる超能力者の話」と割り切れば、それなりに面白いといえる。

 見どころ、というか聴きどころは、音。
 雨、開閉されるドア、足音、スチール製の机とイス、電話の発信音、砂利道……といった各種の音が細かく扱われていて、作品のミステリアスな味を引き立てる。耳で楽しませる映画ともいえそうだ。
 映像的にも、人物の顔に陰を作ったりノイズを入れたり色を落としたり俯瞰してみたりと、精一杯にオモワセブリック。

 驚きやカタルシスはない。『デッドゾーン』(デヴィッド・クローネンバーグ監督)のような切なさもない。が、『ミステリー・ゾーン』と思って観ればそこそこには楽しめる。

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