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2006/04/01

ファミリー・ゲーム/双子の天使

監督:ナンシー・マイヤーズ
出演:リンジー・ローハン/デニス・クエイド/ナターシャ・リチャードソン/リサ・アン・ウォルター/サイモン・クンツ/エレイン・ヘンドリックス/ロニー・スティーヴンス

30点満点中17点=監3/話3/出4/芸3/技4

【双子の姉妹は、無事にパパとママを取り戻せるのか?】
 サマーキャンプで出会い、自分たちが双子の姉妹だと知ったハリーとアニー。ハリーはナパでワイナリーを経営するパパと、アニーはロンドンでウエディングドレス・デザイナーのママと暮らしているが、どうしてふたりは別れたんだろう? ハリーとアニーは入れ替わって帰宅、いままで逢えなかったパパとママに触れ、ふたりを再び引き合わせようとするが、パパにはメレディスというイヤな女が婚約者として付きまとっているのだった。
(1998年 アメリカ)

【応援したくなる双子の活躍】
 モノゴトを上手くこなせるかどうかは、持って生まれた才能、努力、周囲の協力、そして少しばかりの運にかかっている。
 ハリーとアニーのパパ・ニックは、お金や熱意はあるようだけれど、若い女性にちょっと色目を使われたくらいでのぼせ上がって、夫婦関係や親子関係を良くしようという努力とは無縁の人のようだ。
 ママのエリザベスも、仕事がデキる人ではあるようだが、なんでも自分ひとりで片付けなければ気がすまない性格のように思える。

 そんな両親に対して、ハリーとアニーは“上手くやっていく”コツを心得ている。サマーキャンプではすぐに友だちを作るし、悪知恵も抜群。持って生まれた「双子」という武器を利用して、両親を再会させようと奮闘する。バレないようにと、アニーが執事と交わす独特のダンシング握手もちゃんと練習するし、ハリーのピアスもコピーする。

 この双子を元気一杯に演じるリンジー・ローハンが上々だ。そばかすだらけの顔を輝かせての、初々しい子役演技。合成と編集できっちりと作り上げられた双子の表現も見事だし、ふたりが握手して「ビビビ」と感じあう瞬間も説得力たっぷり。
 彼女たちの周囲で応援してくれるキャラクターも魅力的。リサ・アン・ウォルターによるハリーの乳母チェシーは涙の抱擁で、一瞬にしてこの家族が置かれている環境を感じさせてくれる。サイモン・クンツが演じるエリザベスの執事マーティンも同様で、親子4人を温かく包み込む。グランパの存在感もなかなかだし、メレディスもイライラするくらいの悪役っぷりだ。

 ストーリー的には、話を面白くorややこしくしたり、モノゴトの進展にブレーキをかけたりする要素の埋め込みかたがユニーク。冒頭で提示されるパパとママの写真、フランス語、ワイナリー経営やドレス・デザイナーという仕事、山歩きなど、ある場所に埋め込まれた要素が他の場面で掘り起こされて、お話が立体的になる。
 相手の顔が見えないフェンシングという競技を使って、観客にやきもきさせるのも気が利いている。
 大脱走マーチやナット・キング・コールなど懐かしめの音楽に加え、ナパでは西部劇調、ロンドンではクラシック風と使い分けるBGMも軽快。ハリーとアニーの衣装も、ちょっとハイソな感じがソバカス顔に浮いてしまっているけれど、カラフルでキュートだ。

 全体に上手くまとめられた1本だろう。『花嫁のパパ』や『赤ちゃんはトップレディがお好き』など、家族をテーマとした上質なコメディを生み出したナンシー・マイヤーズ&チャールズ・シャイアの手になる映画だけに、安心して観ていられる。
 パパとママのキャラクターはもっと描き込んで欲しかったし、双子という特性の生かしかたにもこだわってもらいたかったし、ふたりのイタズラを長々と映すなど冗漫な部分も残っているけれど、天真爛漫なハリーとアニーを応援したくなる、可愛らしさに満ちた作品だ。

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