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2006/05/15

フィラデルフィア・エクスペリメント

監督:スチュワート・ラフィル
出演:マイケル・パレ/ナンシー・アレン/ボビー・ディ・シッコ/エリック・クリスマス/ルイーズ・ソレル/スティーヴン・トボロウスキー

30点満点中15点=監3/話3/出2/芸3/技4

【タイムスリップした海兵たちの運命は?】
 第二次世界大戦が激化する1943年。米軍はロングストリート博士の指揮の下、戦艦を敵レーダーから消す「フィラデルフィア実験」を極秘裏に実施するも失敗に終わり、戦艦は消滅する。乗組員のデヴィッドとジミーは時空の歪みに投げ出され、1984年のアメリカに到着する。上空には巨大な嵐が巻き起こり、その雷雲の渦に呼応するかのように、ふたりの身体は発光して激痛が襲う。彼らは無事、40年前の過去に戻れるのか?
(1980年 アメリカ)

【いい部分もあるが、トータルでの完成度は低い】
 本作を観て、ショックが3つ。
 まず「戦艦がタイムスリップする」という同じアイディア、同じ1980年公開の『ファイナル・カウントダウン』(ドン・テイラー監督)と、頭の中でゴッチャになっていることに、物語終盤に至って気づいた。『ファイナル~』の方を観たかったんだけれど。
 そういえば『ザ・リバー』(マーク・ライデル監督)も『プレイス・イン・ザ・ハート』(ロバート・ベントン監督)と混同してたっけ。歳は取りたくないもんだ。

 2つ目が、映画としてのデキ。
 ズームの多用、ちゃっちいセットなど作りの古めかしさは仕方ないとしても、映画そのものの完成度が低め。実験前夜が長い割にデヴィッドと父との関係などあって然るべきエピソードは割愛されているし、セリフもクドく、まったりした流れ。
 主演マイケル・パレ、相手役ナンシー・アレン、相棒のボビー・ディ・シッコらの演技も薄く、輝かない。
 全体として突っ込み不足で『ミステリーゾーン』や『世にも奇妙な物語』の1エピソードを時間だけ長くした、という仕上がり。忙しいのに、こんなの観ている場合じゃないぞ。

 まぁアイディアや展開そのものは面白いし、ラストも清々しいし、シーンをまたぐ大仰なBGMも効果的だし、CGは意外なほどスマートだし、「レーガンが大統領になっていてビックリ」などタイムスリップもののお約束もちゃんとあるし……と、いいところも結構ある。決定的にダメダメな映画というわけじゃない。
 サスペンス色を強くしたいのか過去に戻れない苦悩をクローズアップしたいのか、ベクトルをハッキリさせるとともにディテールも詰めれば、いい作品になったはず。もったいない。

 3つ目が最大のショック。
 ふと「自分がタイムスリップして、もとの時代に戻れないとしたら、どの時代へ行きたいか?」と考えて、“過去”という選択肢が浮かんだことに驚いた。昔なら文句なく未来だったんだけれど。結果を知っているレースに賭けて大儲け、楽して暮らそう、なんていう浅ましい自分がいる。
 歳は取りたくないもんだ。

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コメント

どもども以前、コメントいただきましたものです。たぶん覚えておられないかと思いますが。
ところで映画バトンなるものを受けていただけないでしょうか?
これだけ映画に通じている谷川さんだったら屁でもない作業だと思いますが(笑)
気が向いたらで結構ですのでどうかよろしくお願いします。

投稿: ちょきちょき | 2006/05/15 18:37

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