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2006/06/27

僕の彼女を紹介します

監督:クァク・ジェヨン
出演:チョン・ジヒョン/チャン・ヒョク

30点満点中17点=監3/話3/出4/芸3/技4

【暴走婦警と気の弱い教師、その愛の行方は?】
 暴走気味の女性巡査ヨ・ギョンジン。今日も、ひったくりの犯人だと勘違いして善良な教師コ・ミョンウを誤認逮捕してしまう。後日、不良学生補導のための夜のパトロールで再会するふたり。またしてもギョンジンに振り回されるミョンウだったが、それは幸福な出会い。やがてふたりは惹かれあうようになる。交際が始まっても、相変わらずギョンジンは暴走を続け、勝手に凶悪犯を追う始末。その行為が、ふたりに悲劇を呼ぶことになろうとは。
(2004年 韓国)

【大仰かつ大雑把で、丁寧さと熱が足りないかも】
 どうも監督から「あんたら、こういうの好きでしょ?」といわれているような気がする作品だ。

 ハリウッド風の夜景空撮オープニングから全編が青を強調した画面で構成され、一転して後半、ギョンジンの部屋ではベージュをモチーフとしたソフトなタッチ。
 カメラをぐるんぐるんと回してみたり、かと思えばファンタスティックな雰囲気を醸し出してみたり、ギョンジンがミョンウを助ける場面では揺れる望遠で緊迫感を演出してみたりと、絵作りのセンスは上々だ。

 特に、手錠で結ばれたままのギョンジンとミョンウが顔を洗うシーンなんて、ガチっとカメラを固定することでフレームの中のふたりの仕草が可愛らしく映し出されて、本作での代表的名場面として輝く。
 ギョンジンとミョンウが交換する詩集、「ごめん」という台詞、前作ともいえる『猟奇的な彼女』を想起させるシーンなど、うまく観るもののツボをくすぐる展開も見られる。
 だがいっぽうで、カットのつなぎが乱暴だったり、解決されていないことも残されていたり、ギョンジンの暴走が戯画的だったりと、練り切れていない部分も。
 なんというか、大仰で大雑把な仕上がりだ。

 その大仰さ&大雑把さが、「ぐぁーっと話が進んで、笑いがあって、可愛らしいシーンもあって、ひょいと悲劇が訪れる。ちょっとヤリスギだったりテキトーだったりする部分もあるけど、こういうベタなノリ、皆さん好きなんでしょ?」という問いかけに思えて仕方ない。

 ええ、ええ、好きですとも。
 でもね、『猟奇的な彼女』の中にあった奇跡的なまでの切なさや一途さ、構成の妙味をヌキにしてラブ・ファンタジーを作っても、どこか浮ついた感じが漂い、観客をナメているような印象が出ちゃうんですよ、といいたい。
 こういう「まぁこんなところでしょ」という意識ではなく、もっと丁寧にもっと勢いよく作ってくれれば、キラキラした映画を送り出せる人なのに、もったいない話だ。

 それにしても、チョン・ジヒョンは相変わらず可愛い。

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