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2006/07/24

PARASITE DOLLS

監督:吉永尚之/中澤一登
声の出演:井上和彦/岡村明美/内田聡明/古川登志夫/井上喜久子/池田勝

30点満点中12点=監2/話2/出3/芸3/技2

【アンドロイド暴走事件の果てに待つのは?】
 大企業ゲノム・コーポレーションが支配するゲノムシティ。人々は「ブーマー」と呼ばれるアンドロイドと共存していた。が、ブーマーが突如として暴走する事件やブーマー殺しが続発、ノーマルポリスとともに、テロ対策のために設立されたA.D.ポリスが捜査に乗り出す。ブーマーのバグを解消するパッチプログラムを入手した捜査官バズと相棒のブーマー・キンボール。A.D.ポリスの面々は、とてつもない陰謀の核心へと迫ろうとしていた。
(2003年 日本 アニメ)

【進歩や驚きが感じられない作品】
 ビデオクリップ風のスタイリッシュなオープニング、それに続く東京湾空撮ではひと目で未来の物語であることをわからせる。この時点で「お、よくデキていそう」と感じたのだが、その期待は裏切られることになる。

 第1エピソードでは、階段の二段飛ばし降りやヌメヌメした歩きかたなど不自然な作画が目に余る。撮影時のセルのブレも頻繁だ。ガラスに映るブーマーの姿やパソコンモニターのチラツキなど面白い絵もあるが、全体としては「80~90年代の作りを、ちょっとだけ豪華にした」程度の画面で、真新しさは感じられない。
 人間とほとんど区別のつかないアンドロイドが街中を闊歩しているのに、クルマのデザインは古めかしく、パソコンのモニターはCRT。科学の発展バランスの悪さも気にかかるところだ。
 致命的なのは、台本が文字として見えてしまうこと。血の通っていない台詞とベテランならではの声優芝居が、白々しさを呼ぶ。これを聴くと非声優の役者をキャスティングするジブリの方法論を断然支持したくなる。

 第2エピソードでは作画・芝居ともに多少マシになるし、シーンの切り替えに工夫があったりもするが、お話は『攻殻機動隊』のパクリ。

 第3エピソードで、クォリティはグっと高くなる(どうやらここがタランティーノ監督の『キル・ビル』でアニメパートを担当したという中澤一登の仕事らしい)。
 日本語としておかしなところはあるもののストーリー/シナリオはまずまず整理されているし、セルの絶対数の少なさ(予算と時間の不足)を補う雰囲気重視の前半部の演出もこなれている。
 中盤から後半にかけてのアクションはスピーディかつダイナミックで、飛ぶヘリ、照り返す水面、爆破など全体的に美しい。

 トータルで考えると、ハズレ。SFハードボイルドは日本製アニメの王道だが、王道だからこそオリジナリティや新しいことへの挑戦が必要なはずなのに、それらがまったくない。企画~ストーリー作りも演出も20世紀から全然進歩していないじゃん、というのが素直な感想だ。
 第3エピソード並みのデキを全編で維持できていたならもう少し楽しめただろう。アニメ界に長年続く「3チーム集めて、そのうち胸を張れるのは1チームだけ」という製作体制(クリエーターの層の薄さ)は、いい加減どうにかならないものか。このあたりにも“停滞”が見られる。
 先へ先へと向かうことをやめ、大きな輪っかの中に、少しずつ色合いの異なる作品を置いていく。そんな現状を感じてしまう内容だった。

 せっかく『王立宇宙軍 オネアミスの翼』に“進化”を感じ取ったばかりだというのに、残念。『アニマトリックス』あたりを観る限り、このジャンルにおける日本アニメの進化というか“縦の流れ”は、まだまだストップしたわけではないはずなのだが……。

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