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2006/09/28

サマータイムマシン・ブルース

監督:本広克行
出演:瑛太/上野樹里/川岡大次郎/与座嘉秋/ムロツヨシ/永野宗典/本多力/真木よう子/三上市朗/佐々木蔵之介

30点満点中17点=監3/話3/出4/芸4/技3

【突如として出現したタイムマシン、その使い道は!?】
 某大学のSF研究会。ある夏の暑い日、ガラクタが散らばる部室に突如として現れたのはタイムマシンと未来人の田村だった。研究会のバカ5人と田村は、とりあえず、壊れてしまったクーラーのリモコンを取ってくるために昨日へとジャンプする。が、助教授の穂積から「過去を変えると、すべて消えてしまう」と指摘された一行は時間の流れを元に戻そうとして昨日と今日を行ったり来たり。このドタバタに終止符が打たれるのは、いつ!?
(2005年 日本)

【バカたちを観て楽しむバカ映画】
 大テーマである「時間」だけでなく、空間やちょっと間の抜けたセリフのやりとり、つまりは“間”全体に特徴のある映画だ。

 時間=タイムトラベルものとしては、可もなく不可もなくよりちょっと不可寄り、といったレベルか。
 前半部で伏線を撒き散らしつつ、中盤以降でそれらをきっちりと解決していく構成は及第点。特に「バカにタイムマシンを渡したら」というワンアイディアで押し通し、シリアスにせず徹底してドジバカマヌケの笑いベクトルでまとめた点は評価できる。
 ただしそのワンアイディアに肉付けを施していく手腕はやや不足気味だ。驚くようなパラドックスは発生せず、出来事はおおよそ想定の範囲内。「ふむふむ」でとどまり、「あっ、そういうことか!」に至っていないのだ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(ロバート・ゼメキス監督/1985年)の時代ならこれで十分だろうが、山のように時間モノが作られた現代に観るには、ちょっとパワーが足りない。最近では、入り組んだ因果関係を毎週提示・解決していく『トゥルー・コーリング』のような傑作が作られているのだから、もはやこの程度では満足できない。
 しかも、さほど難しくない「AのおかげでBが起きた」といった因果関係をクドクドと説明しすぎで、観客をバカにしている雰囲気がある。

 それでも憎めないのは、ひとつには空間の良さがあるから。オープンセット&ロケが中心の撮影で「地方の大学のごちゃごちゃした部室」という空気感が大切にされている。狭い空間的範囲内でストーリーを展開させたおかげで、タイトな緊迫感も生まれている。画面の分割で今日と昨日を同時進行させるのも、映画的試みとして面白い。

 ちっちゃくてごちゃごちゃした空間でドタバタを繰り広げるのは、これまた憎めないバカども。主役級2人以外を舞台系の役者中心でまとめたわけだが、そのクセのある&キッパリしたセリフまわしが物語のバカっぽさを助長していて楽しい
 それぞれが語るセリフも「白とか黒とかどーでもいいんだよ!」とか「僕の後に動物実験はやめてください」とか、タイムトラベル時の「うにゃー」とか、ビミョーにオマヌケ。アニメ的なテンポの中で鳴るガンダムなどのBGMも、やっぱり間が抜けていていい感じ。

 過去の名作時間モノにあったような強力な「!」に期待せず、バカな登場人物たちをバカにして笑う、くらいのつもりで観ればまずまず楽しめるおバカムービーである。

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