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2006/10/18

フレッシュ・デリ

監督:アナス・トーマス・イェンセン
出演:ニコライ・リー・カース/マッツ・ミケルセン/ボディル・ヨルゲンセン/リーネ・クルーセ

30点満点中15点=監3/話3/出3/芸3/技3

【肉屋さん開業、そして大繁盛。その人気の秘密は?】
 高圧的なホルガーが経営する肉屋で働くスヴェンとビャン。神経質なスヴェンは妻に愛想を尽かされ、ビャンは脳死状態で寝たきりの弟から生命維持装置を外す決断をしたりもするが、晴れてふたりは自分たちの店を持つことになる。ところが改装のために雇った電気屋をうっかり巨大冷蔵庫に閉じ込めて死なせてしまう。事故を隠蔽しようと、死体をスライスして鳥のマリネとして店頭で売るスヴェン。この商品が大人気、店は繁盛するのだが……。
(2003年 デンマーク)

【ドグマにだって、いいところはある!?】
 あ、この監督ってば『キング・イズ・アライヴ』(クリスチャン・レヴリング監督)のシナリオライターでドグマさんなのか。それ知ってたら絶対に見なかったんだが。

 とはいえ本作は、純ドグマではなく、ドグマのエッセンスを上手く機能させて作られた、という感じ
 ノッペリとしたテンポはスヴェンとビャンに対して「なに考えてんだよ、こいつら」という呆れ感覚を抱かせる作用を果たす。ドグマならではの「余計なことはせずナチュラルに」という意識は、自然光を生かした「まさにそこで事が起こっている」という画面を作り、役者の演技もクローズアップされる。こうした“作り”なら歓迎だ。

 が、ブラックユーモアとしてはちょっと弱いし、寓話としても迫ってくるものが少ないといえる。
 一応は「人への関心、人との関わりが、人を変える」ということがテーマとなっているのだろうと思う。他人に対して“ムカつき”しか感じず、そのせいで相手にも“ムカつき”を与えてしまうスヴェンが、ビャンの双子の弟アイギルとだけは純真に触れ合う。ビャンもまたアイギルというクッションを置いてティナと近づくことで、少し柔らかくなっていく。
 何かと何か、心の中のでっぱりとへこみがピッタリとハマる、そんな瞬間を経て人は変わったり、その場に適応したりするのだろう。

 ということを考えさせるものの、それ以上には残らない映画。

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