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2006/10/20

コーラス

監督:クリストフ・バラティエ
出演:ジェラール・ジュニョ/ジャン=バティスト・モニエ/フランソワ・ベルレアン/ジャン=ポール・ボネール/カド・メラッド/グレゴリー・ガティニョル/マクサンス・ペラン/ジャック・ペラン

30点満点中16点=監3/話3/出4/芸3/技3

【歌が癒していく】
 戦後間もない1949年のフランス、教師のクレマン・マチューは『池の底』と呼ばれる寄宿学校に舎監として赴任する。そこにいたのは、用務員に重傷を負わせてしまうほどイタズラ盛りの問題児ばかり、校長は体面と出世だけしか考えない俗物。親を亡くし、あるいは親と離れて過ごす子どもたちになんとか純真さを取り戻させようと、マチューは合唱隊を作る。その中心となるのは、やがて世界的な音楽家に育つピエール・モランジュだった。
(2004年 フランス)

【ストーリーはある、だがドラマがない】
 主演のジェラール・ジュニョとラシャン校長役フランソワ・ベルレアン、マチューをサポートする体育教師カド・メラッドらの演技が映画を引っ張っていく。立ち姿、指先、眉の角度にまで意識を集中させて「いま、この心境を表現するんだ」という意気に満ちた芝居だ。
 そのパワーに加えて、ちょっと古めかしいフレーミングや色合い、同録っぽさが強調された音の作りも雰囲気がよく、お話がスムーズに流れていく感覚がある。

 といった点に“感心”はするのだが“感動”はできない
 まずピエール・モランジュが可愛くない。ショタ心が騒がない。ちっちゃなペピノ君が生き生きとしているのに対して、モランジュについては母親との関係が描き込み不足、本人の心の中にある葛藤も消化不良で、扱いがいまひとつだ。アンソニー・ウェイあたりと比べると、それほど歌が上手いとも思えないし。
 また「マチューが赴任してくる前は、学校に音楽がなかった。そのせいで荒みがあった」という描写もあって然るべきだろう。それがないため、ビフォア&アフターの劇的変化に乏しい。
 マチューという「人育てのプロ」が実在して、おかげでモランジュもペピノもいっぱしの大人(老人)へと成長したことはわかるのだが、そこにあるはずの「心と心のぶつかりあい、それによる化学変化」が上手く描かれていないために、「こんな出来事がありました」的な映画にとどまり、どうも盛り上がりに欠けるものとなってしまっている、

 ストーリーはある、しかしドラマが足りない、そんな映画だと感じた。

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