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2006/10/27

マイ・フレンド・メモリー

監督:ピーター・チェルソム
出演:エルデン・ヘンソン/キーラン・カルキン/ハリー・ディーン・スタントン/ジーナ・ローランズ/ジリアン・アンダーソン/ミート・ローフ/シャロン・ストーン

30点満点中18点=監4/話3/出4/芸4/技3

【落ちこぼれと難病、ふたりの少年の出会い】
 大きな体に似合わず大人しい性格、勉強もできず中学1年を二度もやり直している落ちこぼれのマックス。父は殺人で服役中だ。その隣に越してきた同級生のケビンは難病に侵されており、ひとりで歩くこともままならない。父は病気の事実を知って失踪。だがケビンは、たっぷりの知恵と知識を蓄えていた。ふたりは、脳と足、たがいに足りないものを補いあい、騎士として勇敢に生きて行こうと誓うのだが、ケビンの病は進行をやめなかった。
(1998年 アメリカ)

【恐れるな。正しいと信じて行動することが君自身を作る】
 画面1つ1つに無駄がなく、かといって過分な省略もされておらず、適確なタイミングで必要なカットが挿入される作りがいい。
 そう、主人公ふたりが騎士として生きて行こうと決意したなら、その決意にヒヤヒヤとする周囲の姿が描かれなくてはならない。決意を実行したふたりに温かな笑顔を投げかける人々を散りばめなければならない。そうした配慮がキッチリと効いているから、安心して見ていられるのだ。
 ストーリー(前半に比べて後半はやや乱暴な展開になったことが惜しまれるが)に合わせて要所要所で、中世の騎士や馬の姿が挿し挟まれるのも素敵で、この演出プランが感情移入度を倍化させる。ケルト~アイリッシュ系の楽器・旋律をフィーチャーしたトレヴァー・ジョーンズの音楽も画面にマッチしている。

 出演者たちの演技や存在感も上々だろう。おどおどしたマックス役エルデン・ヘンソンといい、難病に蝕まれた人ならではの“命の青い輝き”を体現しているキーラン・カルキンといい、まったく、アメリカにはこれくらいの才能がゴロゴロしているのだと思うと、ちょっとイヤになってくる。
 マックスの祖父役ハリー・ディーン・スタントン、祖母役のジーナ・ローランズ、ケビンの母親を演じたシャロン・ストーンが、出しゃばらず、子どもたちふたりの引き立て役に徹したことも本作が成功した要因だろう。

 そして、この映画でとにかく印象づけられるのが「視線」。これほどまでに「視線」を感じさせる映画も珍しい。見上げる、見下ろす、見つめあう。そうした目の動きが忠実に画面作りにも生かされ、くっきりと、いま観客が見るべきもの、登場人物が見ているものが切り取られる。
 そこから浮かび上がってくるのは、本作のテーマ。誰かからどう見られているかというのは、そりゃあ確かに気になるもの。けれど、どう見られるかは容貌や生まれ育ちではなく「どう行動するか」に拠る。騎士としての価値が行動で決まるように、人間としての本質も行動に拠るのだ。

 足りないものを補いあって成立する人間関係や社会、「異」なるものとの交流による成長、という物語の大枠の陰に「恐れるな。正しいと信じて行動することが君自身を作る」というメッセージが込められ、そのメッセージに光を感じ、生きていく力を与えてもらえる。良作である。

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