ミリオンズ
監督:ダニー・ボイル
出演:アレックス・エテル/ルイス・オーウェン・マクギボン/ジェームズ・ネスビット/デイジー・ドノヴァン/クリストファー・フルフォード
30点満点中15点=監4/話2/出3/芸3/技3
【突如舞い込んだ大量のポンド紙幣は、神様からの贈り物?】
母親を亡くし、父や兄とともに新興住宅地へと引っ越してきたダミアン。線路沿いの空き地にダンボールで秘密の家を作ったら、そこにスポーツバッグがドサリと落っこちてきて、中には大量のポンド紙幣が。聖人マニアのダミアンは貧しい人たちに施そうと考えるが、お金オタクの兄アンソニーは投資に心が動く。問題はポンドからユーロへの切り替え期限が迫っているということ。また、怪しい影もふたりに近づこうとしていた。
(2004年 イギリス/アメリカ)
【読み取るためには、繰り返しの鑑賞と閃きが必要かも】
まずは色の奔流。赤、青、黄、緑、紫。イギリスの住宅地って、こんなにも色に満ちているのか、と驚かされる。モノだけでなく空や人の肌の色合いなど、全体的にデジタルっぽい質感で、カメラもよく動いて、どこか架空の世界のような雰囲気が作り出される。
そこに散りばめられた数々のピース。旧い紙幣、詰め込まれるのはナイキやアディダスといった“新資本”製のバッグ、国家間の壁を取り払うことによってもたらされる新しい世界、母の死、天国という得体の知れない場所とそこに暮らす意味不明の聖人たち……。現実と空想の間を行き来しながら、ストーリーは寓話的な空気を漂わせて進む。
で、ここから何かを読み取ろうとするのは、ちょっと難しい。
主人公が子どもであり、彼は子ども的価値観のまま行動し、その行動がそのままストーリーとなっているので、こちらは振り回されるばかり。物語がどこに落ち着くのか判然としないまま時間がたち、判然としないままで終劇を迎える。散文的というか、「え~っと、おれ、何を観せられたんだろ?」という感じ。
たぶん、ある一定の精神状態のもとで何度か繰り返し観れば、散りばめられたピースが頭の中で組み上がったり、ピースの中から何かが閃いたりするのかも知れないが、繰り返し観るには面白みの足りない作品だと思う。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント