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2006/12/18

スケルトン・キー

監督:イアン・ソフトリー
出演:ケイト・ハドソン/ジーナ・ローランズ/ピーター・サースガード/ジョイ・ブライアント/ジョン・ハート

30点満点中17点=監4/話3/出4/芸3/技3

【呪いと謎に満ちた邸宅。その“開かずの間”には、何が!?】
 十分な看護もできぬまま父を死なせてしまったキャロラインは、住み込みで寝たきりの老人を介護する職を得る。が、脳卒中で倒れ半身不随のはずのベンは彼女に「助けて」とサインを送り、その妻キャロラインの言動はどこか不自然。やがて彼女は、この地に伝わる“フードゥー”という呪いの儀式について知る。また、彼女が預かった「邸宅の部屋すべてのカギを開けられる」はずのスケルトン・キーでも開けられないドアを見つける。
(2005年 アメリカ)

【ルールを遵守して作られた、よくできた映画】
 オカルトの世界においては、われわれが知る物理法則は通用しない。あそこからもここからもニョキっと化け物。だからといって、あれもあり、これもあり、ご都合主義で破綻しまくりの展開ではストーリー映画として成立しない。オカルトなりの“ルール”が必要であり、それをあらかじめ観客に提示することも求められるはずだ。
 その点、本作では「呪いは、それを信じるものだけに効果がある」という映画の大テーマがルールとして機能し、そこから逸脱することなく話が進んでいく。ストーリーに1本芯が通っていて、いってみれば、フェアな映画になっているのだ。

 フェアに、真っ当に作られた物語だから、こけおどしの演出がなくても十分に面白い。そりゃあ確かに、ジャンという音とともに急に人影が現れたりとか、「ひとりでそんな怖そうなところへノコノコ行くなよ」など、ベタというか強引というか、B級スリラーらしい部分はある。反面、鳥肌が立つような怖さはない。鍵穴から覗くようなアングルや、前のカットに次のカットのセリフをかぶせるシーン転換のほかは、冒険的な絵作りもなくて、どちらかといえば恐怖映画には不向きな手堅い演出といえるかも知れない。
 けれど、床に撒かれたレンガの粉、はずされた鏡、古いレコードなどの小道具を上手に生かしつつ、適度なハラハラ、タイミングのいい謎と解決を与えながら、観る者を退屈させることも必要以上に戸惑わせることもなくストーリーを進めてくれる。クライマックスのスピード感もいいし、キレイに落としたラストも良質。
 ケイト・ハドソン、ジーナ・ローランズ、ピーター・サースガード、そしてジョイ・ブライアントの4人はそれぞれ適役で、映画の中で浮いた感じになっていないのがいい。
 つまり、オカルトである前に、ちゃんとしたストーリー映画として仕上がっているのだ。それが、うれしい。

 まぁ、もう1つ2つラストにつながる伏線を張っておいてくれてもよかったよな、とか、この映画を観たことを強烈に印象に残すカットや要素があればなぁとか、小さな不満もなくはないけれど、(ホラーというより)サスペンスものとしてキッチリ作られた「よくできた映画」といえるだろう。

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