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2007/01/14

ハービー/機械じかけのキューピッド

監督:アンジェラ・ロビンソン
出演:リンジー・ローハン/ジャスティン・ロング/マット・ディロン/ブレッキン・メイヤー/マイケル・キートン

30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4

【おんぼろビートルと女性ドライバーの大活躍】
 大学の卒業祝いにマギーが買ってもらったのは、オンボロでホコリまみれの63年式フォルクスワーゲン・ビートル。実はこのビートルこそ、かつてレースで連戦連勝、大人気を博した“ハービー”だった。久しぶりのドライブに浮かれるハービーは暴走し、NASCARの王者トリップ・マーフィを負かしてしまう。リベンジのために一計を案じるトリップ。だがマギーは以前に起こした事故のせいで、パパからレース参加を禁じられていた。
(2005年 アメリカ)

【どこを割ってもディズニー製のファミリー向けコメディ】
 悪党はいかにも悪党(でも小悪党)らしいところとか、いちいちソレっぽいBGM……特に『BORN TO BE WILD』と『JUMP』の使いかたが絶妙……やサウンド・エフェクトが入ったりとか、随所に説明セリフが(けれど、さりげなく)用意されていたりとか、動機や展開が弱いところとか、ファミリー向けっぽさ満開だ。

 キャラクターが、ベタだけれど魅力的というのもファミリー向け。あるいは「ディズニーっぽい」とでもいうべきか。
 向こうっ気の強いヒロインを、相変わらず可愛いリンジー・ローハンが、手堅いながらも溌剌と演じる。娘を思いやるあまり厳しくあたる、ちょっとヤンキーっぽいパパにマイケル・キートンが意外とマッチ。主人公の兄弟以外の何者でもないブレッキン・メイヤーのお兄ちゃんとか、内気でヒロインへの恋心を抱いている男友達=ジャスティン・ロングのケヴィンとか、どこか憎めないトリップ役マット・ディロンとか、みんな楽しんでやっていて、おかげでこちらも楽しくなるし、とにかくベタベタなキャラクター設定なので安心して観ていられる。

 そして、何といってもハービー。実に表情豊か。多分に擬人化されているわけだが、その程度をいいあんばいに抑えてあって、一応は主役なんだけれども、あくまでヒロイン=マギー=リンジーの魅力を引き立たせる役柄として機能する。このあたりのキャラクターの作りかたの上手さもディズニーならではだろう。

 あらすじを読んで、ハービーとマギーの出会い&意思疎通のシーンを上手に描けるかどうかで面白さは決まる、と感じていたのだが、この部分を「気を持たせながら、笑わせながら、テンポよく」まとめたことで、ファンタジック・コメディとしてキチっとまとまり、完成度が上がっているように思える。
 ポップなオープニングから予定調和の大団円まで、無駄なくスピーディ、ふんだんに笑い(しかも日本人が観ても素直に爆笑できる笑い)を散りばめてあって、楽しく観ることのできる作品だ。

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