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2007/01/23

-less [レス]

監督:ジャン=バティスト・アンドレア/ファブリス・カネパ
出演:レイ・ワイズ/リン・シェイ/アレクサンドラ・ホールデン/ミック・ケイン/ビリー・アッシャー/アンバー・スミス

30点満点中16点=監3/話3/出3/芸3/技4

【森の中、延々と続く道、ひとりずつ消えていく】
 クリスマス・イヴの夜、森の中の一本道を往くクルマ。夫フランク、妻ローラ、娘マリオン、その恋人ブラッド、息子リチャードの5人が、義母の家へ向けて進む。だが道中、赤ん坊を抱いた白いドレスの女性を乗せてから、何かが狂い始める。停まるたびに、ひとりずつ消えていく。謎のクラシック・カー。「マーコット」という標識。どこまでも続く道。狂気に蝕まれる家族……。いったい何が起こったのか!?
(2003年 フランス/アメリカ)

【純粋な“オチ”ものにあらず】
 もともとスリラーやホラー映画の登場人物には頭の悪いヤツらが多いわけだが、さらにIQの平均値を落とすような行為が序盤から相次ぐ。街灯すらない夜道を若い女の子ひとりに歩かせて恋人は平気な顔をしているし、息子は森の中でセンズリ始めちゃうし、母親はショック状態の娘のそばに付き添おうとはしないし。
 その振る舞いがあまりに不自然であるため、ちょっと戸惑う。
 誰かが何かを仕掛けている? これって現実? ひょっとしてアレ(ネタバレを避けるためタイトルは伏せるが、観た人ならすぐにわかると思う)とかと同じ? まぁいずれにせよ、真っ当なストーリーのスリラー/ホラーではなく「ああ、そういうことだったのね」系の“オチ”ものだということは容易に感じ取れる。

 そう思ってみると、はいはい、どんどん消えていくんでしょ、死んじゃうんでしょ、そのへんはわかったから、早いとこオチ見せてよ、という気になってくる。幸いにも画面作りは暗くてジメっとしてて雰囲気もあるし、それなりにあれやこれやが起こるので退屈はしないけれど、どうしても気が急いてしまう。
 というのも、この家族に降りかかる不可思議現象に“オチ”へつながる伏線らしきものが感じられず、ただグロい出来事が「起こっている」だけのように思えるのだ。2時間だったらキツかった。85分というのはギリギリのラインだろう。

 で、オチ。10人いれば確実に1人か2人は読めるであろう内容。劇中にまったく伏線がなかったといえばウソになるが、じゃあ整合性が取れているかというと、かなりおかしい。このオチの場合、たとえば赤ん坊の名前とかリチャードの生い立ちとかがお話に含まれてくるのはどうなんだろう? エンドクレジットに入るところの1シーンも余計だし。
 結局のところ「ああ、そういうことだったのね」という純粋な“オチ”ものではなくオカルトと化してしまっている。

 ああ、むしろそっち寄りにしたほうがよかったんじゃないか。つまり、あくまでもスプラッターに徹して、で、申し訳程度にオチをつけるという作りにしたほうが面白かったんじゃないだろうか。なまじっかオチを期待させるノリにしてしまっているから、整合性が取れていないことも気になってしまうのだ。もともと原題は『DEAD END』なんだし、ぶちゃぁーと人を殺しておいて「スプラッターですよー、オカルトですよー、でも、とりあえずこんなオチをつけときましたー」でまとめたほうがしっくりとくる。

 まったくツマラナイわけじゃなく、休日の午後の時間つぶしくらいにはなりそうだけれど、楽しんだり「そういうことか、やられたぁ」と唸らされたりする作品ではない。

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